長雨で野菜高騰の救世主？！「工場野菜」

　17日、東京都心に4日ぶりの日差しが戻ってきた。しかし、日照時間はわずか17分。18日朝も雨が降ったため、18日連続の降雨となった。

　東日本や北日本では長雨の記録が続いている。福島県・福島市で桃を育てるまるえ観光果樹園園主の服部栄さんは、「若干色が悪いですね、今年は。やっぱり太陽光線が当たらないせいで」と嘆く。日照時間が少ない状態が続いているため、価格が高騰している野菜や果物もある。

　そんななか注目されているのが、静岡県・富士市にある株式会社イノベタスの植物工場だ。工場で作っているのは「レタス」で、太陽光ではなくLEDの光で育てている。管理部長の和田仁さんは「空気はCO2で管理していますし、太陽光の光はLED。完全閉鎖型で土にあたる養液も人工で、すべて管理しています。栄養価や味の部分というのは、自然のものよりも数段上のものを提供させていただいております」と話す。

　イノベタス工場では現在、4種類のレタスなどを栽培しており、毎日約1万1000株を収穫、出荷できるという。

　小売店での販売価格は1玉158～198円ほどで、首都圏の大手スーパーなどで販売している。一般のレタスは100円前後だが、工場で作るレタスは初期投資や照明などのコストがかかるため“割高”だ。それに関して和田さんは「（工場野菜は）季節や気候の影響をあまり受けない。それと品質です。無農薬であったり管理された環境の中で、衛生的なものを安定的にお届けできる」と訴えた。

　工場野菜は気候の影響を受けないため、価格が変動しにくいという特徴がある。昨年秋には、台風や日照不足の影響でレタスの価格が240円近くまで高騰した日もあった。このまま日照不足の状態が続き今年も価格が高騰した場合、工場野菜の方が安くなる可能性もある。また、土を使わないため衛生的で虫が混入する心配もほとんどないという強みもある。