5日、民進党の前原誠司新代表が新体制を発足させた。幹事長に内定していた山尾志桜里・元政調会長の起用を撤回し、大島敦・元総務副大臣に差し替えた。その理由は、山尾議員のスキャンダルが報じられるからだとされている。そんな中、AbemaTV『AbemaPrime』では、8月に民進党を離党した細野豪志氏に話を聞いた。
今回の民進党の人事について細野氏は「大島さんは私と同期当選。これまで表で目立つ仕事はあまりされてこなかったが、裏方で頑張ってこられて能力も高い方。しっかりと仕事をされると思う。しかし、新体制発足の直後に予定していた人が交代するのは印象が良くない。人事は誰がやっても不満を持つ人は必ずいるものなので、それについてごちゃごちゃ言っても仕方がない。私が民進党にはっきりしてほしいのは、共産党と組むのかどうか、安保法制は白紙撤回でいいのか、憲法問題はどうするのかということ。人事よりも中身だ」と指摘した。
慶大特任准教授の若新雄純氏が「民進党には若くて優秀な人がたくさん集まっている。個人戦で戦えば勝ち残る人もたくさんいるはずだし、細野さんは"個人戦"なら票をたくさん獲得できる人だと思う。しかし、悲しいかな政治の世界には"団体戦"しかない。自民党の議員は個人戦ではパッとしなくても、団体戦に強い。反対に、民進党は個人戦には強くても、団体戦に弱かった」と指摘すると、細野氏も同意。「17、18年も団体戦をやってくると、それに慣れてきてしまい、周りの人たちを見ながら発言する癖がつく。民進党を離れてようやく1カ月経ったが、いくらでも自分の考えが言えるから相当楽。ただ、それだけでは政権がとれない。やはり今後、新たな団体を作らなければならない。政治家というのはもともと自分の考えを持って有権者に選ばれ、自分の考え方と近い人たち同志が集まるのが一番自然な姿。だからその原点に帰ってみようと思っている」と話す。
そんな細野氏自身は、小池百合子都知事や若狭勝氏との政治勢力との連携も取り沙汰されているが、防衛・外交政策では政府与党と一致する点も多い。
細野氏は「私はルーツを大事にする。庶民の代表として国会に行った。自民党は安倍さん、麻生さん、小泉さんなど、みな政治家の出なので、私の感覚とは違う。安全保障については自民党に近いが、生活保護家庭の子どもが大学も専門学校も行けないなんてこんな理不尽なことはいかんと、この半年頑張ってきて、ようやく成果が出つつある。そういうことに私は一番喜びを感じる」として、安全保障政策以外では自民党とはスタンスが異なることを強調、「国防は当たり前の"必修科目"。この当たり前を理解していない政治家も多いが、それに加えて内政でどの専門分野を持つのかが大事だ」とした。
一方、小池新党との連携の可能性については「私が窓口としているのは若狭勝・衆議院議員だ。政策的にも合うので、おそらく一緒にやれると思う。『日本ファーストの会』と連携とよく言われるが、これは若狭さんが作った政治スクールをやっている団体で、政党ではない。新しい政党は、これとは違う新しいものを作らなければならない。スケジュールに縛られるのはあまり良くないが、選挙のときに政党がなければ戦えないので、議論を尽くした立ち上げていく」と明かした。
元産経新聞記者でジャーナリストの福島香織氏が「一般の人から見ると、民進党にはもはや二大政党の一方を担うというような存在ではないように見えている。誰が代表でも変わり映えしないように見え、数のうちに入らないように見える。小池さんの都民ファーストも"世論マーケティング"の成功例に見え、"雰囲気"で政権を取ってしまった民主党と同じ轍を踏んでしまうように思える。若狭氏と細野氏の選挙に勝つための連携ではないかという本音もあるのではないか」と指摘すると、細野氏は「選挙互助会のようなものを作るつもりはない。きちっと柱を掲げること。"安保法制は白紙撤回"じゃだめ。安全保障に関しては周辺事態とか、限定的な集団的自衛権を認めるということが重要。これは民進党ではできない。内政は多様性を大事にし、格差の問題はもちろん取り組むが、民進党に足りないのは経済政策。前原代表の言う"All for all"も、とてもいい理念だが、基礎となる競争力が上がって企業が儲からなければ、社会保障の充実もできない。その部分がやや欠けていると思うので、そこは提示したい。あとは憲法。国の基本の基本だから、"安倍政権が言ってるから反対です"なんて言っていたら駄目。党としての考え方はまとめなければならない。この"3つの柱"は少なくとも掲げていく」と訴えた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)