早指し戦の雄が、永世名人の“鉄板”打破に挑戦する。将棋の若手棋士7人と40代のトップ棋士がチーム戦で戦う「若手VSトップ棋士 魂の七番勝負」(AbemaTV)で、八代弥六段(23)が対戦相手に永世名人の資格を持つ森内俊之九段(46)を指名した。プロ歴の浅い順に若手棋士がトップ棋士を選ぶルールの中、受けの強さから“鉄板流”の異名を持つ森内九段との勝負に「腰が重くて力強い指し手に挑んで行きたい」と意気込んだ。プロ5年目にして、全棋士参加の早指し戦で優勝歴のある八代六段が、重厚な将棋に立ち向かう。
森内九段といえば、若手棋士からすれば羽生善治二冠同様に、雲の上の存在だ。名人のタイトルを森内九段と羽生二冠の2人で、2002年から2015年まで防衛。2011年から2014年は七番勝負も2人で行うなど、最高峰に君臨し続けた。「本当に上の存在というか、大実績を持たれている先生。公式戦で指したことがなかったですし、教わりたい気持ちがありました」と、分厚い鉄板に体ごとぶつかる意気込みだ。
若手棋士対トップ棋士。世代交代の構図が、そのまま盤上に表れそうな対局だ。「森内九段は“鉄板流”という異名を持っていますけれど、非常に腰が重い将棋。(今回の企画も)若手がトップ棋士に挑む構図なので、私の対局もどんどん向かっていくことになると思います」と、戦況を予想した。9月3日に生放送されたNHK杯将棋トーナメントでは、若手チームの中学生棋士・藤井聡太四段が森内九段に勝利。八代六段にとっても、チームメイトとはいえ負けてはいられない状況にもなっている。
森内九段は昨期で順位戦を自ら退き、フリークラスに転出。若手が永世名人の資格を持つ大先輩に胸を借りることができる場は、確実に減った。そんな中でめぐってきた千載一遇の対局のチャンス。「厳しい戦いになるとは思いますが、それを楽しみながらやりたいと思います」。7人の若手棋士の中で唯一、全棋士参加の棋戦で優勝経験がある八代六段が、トップ棋士の大将格を倒すことになれば、世代交代の波が一気に押し寄せる。
(写真提供:日本将棋連盟)