増え続ける女性のプロ野球ファンに、選手の仲良し風景が大反響だ。プロ野球といえば、投手の剛速球、打者の豪快な打撃などに憧れ、その裏に隠された血の滲むような努力というエピソードに感動する、というのが古くからの王道パターンだった。ところが広島の「カープ女子」、横浜DeNAの「浜っ娘（はまっこ）」など女性ファンが増えたこともあり、注目ポイントが変化。選手同士が和気あいあいとし、時にはじゃれあうような仕草に心をときめかせている。試合中に見せる真剣な表情と、オフなどに見せるにこやかな表情のギャップが反響の理由のようだ。
日頃から新聞、テレビなどの取材を受ける選手たちだが、自発的にオフショットなどをTwitter、InstagramなどのSNSで公開するケースも増えてきた。記者会見より先にブログで引退を表明する選手も出てきたほどだ。マスコミの取材を通してではなく、選手自身がそのまま発信する内容に、ファンたちは親近感を持って接している。横浜DeNAの守護神で、甘いルックスが人気の山崎康晃投手などは、Twitterでにっこりと笑顔の画像と投稿すれば、瞬く間に1000単位のリツイート、いいねがつく。
また、球場にいるファンは試合前の練習でシャッターチャンスをうかがっている。練習中、特に準備運動中は選手もまだリラックスムードで、ムードメーカーの選手がいろいろな選手にちょっかいを出したり、逆に出されたりすることもよくある。大柄な選手が子供のように無邪気にじゃれあう様子に、女性ファンの心がくすぐられている。
ファンの情報感度はとても高い。今シーズンから横浜DeNAの主催試合を中継しているAbemaTVで、野球には関係ないような「細かすぎる選手情報」がテロップで紹介されると、この話題でアプリのコメント欄をはじめ、ネット上で大いに盛り上がる。「試合前に食べるものが変わった」「小さいころのあだ名は○○」「子供の運動会で大活躍した」など、グラウンドでは決して見られないような素顔、隠れた情報などの反響が大きい。番組スタッフの1人は「選手がプレー以外の情報を発信してくれるTwitterやInstagramなどのSNSはチェックしています。真剣にプレーしている選手の意外な一面というような、人となりが伝わるものだと反応が大きいようです」と語った。
投げて打ってがプロ野球選手の本業。SNSなどでの発信は、ファンサービスの一環でもある。それでも、SNSをうまく活用することでファンが増え、球場でチャンスを盛り上げ、ピンチで支えてもらえれば、それは選手自身のパフォーマンスにも影響が出る。女性ファンの心をくすぐる素顔を見せることが、選手やチームの目標達成に近づくきっかけとなるかもしれない。
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