9月23日、さいたまスーパーアリーナにて、UFC日本大会が開催される(朝8:30~ AbemaTVで生中継)。
RIZINによって日本でも女子MMAが盛り上がりを見せているが、その元祖といえばやはりUFCだ。ロンダ・ラウジーら実力と個性を併せ持った選手たちによって、UFCは女子MMAの認知度を飛躍的に高めてみせた。日本にも、UFCを目指して闘ってきた選手がいる。韓国のジョン・チャンミと対戦する朱里だ。
UFCには「近藤朱里」の本名で初登場する朱里は、これまでプロレスラーとして活躍しながら格闘技にも積極的に参戦。立ち技格闘技Krushで女子王座を獲得している。さらに2016年からはパンクラスでMMAにも挑戦。デビューから5連勝でチャンピオンとなり、立ち技とMMAの2冠を達成している(それに加えてプロレスのタイトルも)。
朱里が立ち技に続きMMA挑戦を決めたのは、UFCという大きな存在があったからだ。世界最高峰の舞台に立つこと、その頂点に上り詰めることを最初から考え、ケージで行なわれるパンクラスでキャリアを積み、結果を残してきた。
打撃主体の朱里だが、タックルへの対処など組み技での力も試合のたびに上がっている印象。すでに外国人選手との対戦も経験しており、UFCへの準備は万全と言っていい。
MMA自体のキャリアはまだ5戦だが、中途半端な実力では全勝することはできない。しかも朱里は単なるルーキーではなく、立ち技での実績もあるからファイトキャリアは豊富なのだ。
プロレスでの経験も、決して無駄にはならないはず。大舞台で感じるプレッシャーという面では共通しているし、観客の前で闘い、自分を表現する経験、つまり踏んできた場数は大きな財産だろう。“女子プロレス界の横綱”里村明衣子に勝利した実績もある。
今回のUFC初戦は「スタート」だと朱里。なぜなら、目標は出場することではなくチャンピオンになることだからだ。チャンピオンになってからの夢もある。WWE(NXT)で無敗記録を更新するなど一大センセーションを巻き起こしたASUKAとの対戦だ。朱里はASUKAが華名として日本で試合をしていた時代に対戦しており、いわばライバル的存在だった。
その2人がWWEとUFCでそれぞれ世界の頂点を究め、再び対峙する。それは壮大なロマンであり、プロレスと格闘技の二刀流、より厳密に言えばプロレス、立ち技、MMAの三刀流で闘ってきた朱里にしか描けない夢だ。
9.23UFCは、そんな夢へのスタートでもある。UFCという戦場で異色のファイターがどんな闘いを見せるか。格闘技ファン以外にも“届く”魅力を持った選手の世界デビューに注目だ。