9月23日、さいたまスーパーアリーナで開催されたUFCファイトナイト・ジャパンで、近藤朱里がUFCデビューを果たした。
朱里のリングネームでプロレスで活躍し、格闘技では立ち技のKrush、MMAのパンクラスでチャンピオンに。UFCはMMAを始めた時からの目標だった。
この日、朱里は韓国のジョン・チャンミと対戦。お互い打撃が得意なだけに、序盤からアグレッシブなパンチの攻防を展開していった。
手数ではややチャンミが優る印象だったが、朱里は圧力をかけながらジャブ、前蹴りをヒットさせ距離を支配しにかかる。2ラウンドには右ストレートを何発もヒット。最後まで激しい打撃戦が続く中、朱里はバックキックも繰り出し、攻めの姿勢を貫いて試合終了。
判定は2-1。チャンミの手数を支持したと思われるジャッジもいたが、UFCでは際どい判定をものにするのも重要だ。この結果により、朱里は日本人女子ファイターとして初のUFC勝利という快挙を成し遂げた。
もちろん、これはあくまでスタート地点。朱里の目標はUFC女子ストロー級のタイトルだ。この大会では、セミファイナルで同階級のトップファイターであるジェシカ・アンドラージとクラウディア・ガデーリャがハイレベルな闘いを見せた(アンドラージが判定勝利)。朱里が目指す“世界最高峰”は、おそろしく高い。
だが朱里には、UFC王座の先の夢もある。世界最大のプロレス団体WWEと契約し、NXTのリングで連勝記録を作ったASUKAとの対戦だ。2人はASUKAが華名のリングネームで日本にいた時代のライバル。朱里のUFC勝利に、ASUKAは「待っとるで」とツイートを送っている。
日本ではインディーと呼ばれる規模の舞台で闘うことが多かった女子プロレスラーが、それぞれ違う道でアメリカのメジャー団体を主戦場にするまでになった。他の誰にもできないドラマを、朱里は描き始めている。
文・橋本宗洋