「援護がない、というのは防御率0点台の投手が言えること」。「今日は広島に勝ったというより、過去の自分に勝った」。「7回1失点でもいい試合と、7回1失点でもダメな試合もある」。「雨と勝負しないでヤクルト打線と勝負できた」。今永は速球のキレだけでなく、コメントにもキレがある。名言を集めればきりがない。パフォーマンスで発しているわけではなく、木塚敦志投手コーチが「野球に対する意識が高い」というように、客観的に自分を分析し、高い意識を持って考えを伝えているのがわかる。

 例えば、「雨と勝負しないでヤクルト打線に勝てた」というのは、ルーキーイヤーの昨年9月13日に神宮球場で勝利した後のコメントだが、ふだんから雨の日は、足元を気にするなど雨のせいで投げにくいような仕草を見せずにあえて淡々と投げるように心掛けているという。相手打者はもちろん、チームメイトから見える自分、時には自分がテレビで野球中継を見ていたらどう考えるか、客観的に分析するようにしている。

 その今永が「唯一、客観的になれなかった」というのが昨年の広島とのCSファイナルステージ第4戦だ。ストライクに見えるようなコースがことごとくボールと判定され、スタンドのパフォーマンスシートに駆け付けたベイスターズファンも声を荒げるような際どい判定が続いた。けっきょく今永はリズムを作れず1回6失点でKO。チームは敗退しこの試合でシーズンが終わった。冷静な今永がチームメイトの前で悔し涙を見せたのだった。打たれたことはもとより、マウンドで「今のはストライクでしょう」という表情を出してしまったことを深く反省したという。マツダスタジアムの雰囲気に飲まれた部分もあるという今永は、車の中で広島の応援チャンステーマを大音量でかけて慣れようとするほどのストイックぶり。日常生活の中でも野球に対する意識の高さは変わらない。

 その悔しさをバネに迎えた今シーズンだったが、5月末までに8度先発し勝利は2つのみだった。昨年までは負け試合ではうつむきながらマウンドを降り、その気持ちを引きずることもあったが、今年は常に胸を張り前向きに進化を続けている。5月まではプレートの一塁側に立ち右バッターの内角攻めを武器にしていたが、研究され対応されることを懸念し、5月末からプレートの三塁側に立ちアウトローの精度も上げている。

 10勝目をあげた中日戦は立ち上がりが不安定だったが、軸足の重心が左に寄っていることに気付き、キャッチャーの嶺井博希と話しながら見事に修正。7回6安打無失点に抑えた。シーズン中でも試合中でも、冷静に自分の考えをもって修正できるのが今永の強みだろう。10勝目をあげた日のヒーローインタビューでは「昨年は果たせなかったCSをハマスタで開催するというのを、みんな強く思っている」と話し、スタジアムを沸かせた。石田健太も1軍に復帰し、今永、石田、浜口遥大と左の3本柱がそろう形となった。24日の阪神戦でも好投し11勝目をあげた左のエースは、シーズン最終登板、さらにはクライマックスシリーズでさらにギアを上げる。【山口愛愛】

(C)AbemaTV

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