将棋の20代若手棋士と40代トップ棋士が7人ずつのチームで団体戦を行う「若手VSトップ棋士 魂の七番勝負」の第1局が9月30日、AbemaTVで放送され、佐々木大地四段(22)が史上最年少タイトル記録を持つ屋敷伸之九段(45)に89手で勝利した。師匠の深浦康市九段(45)が解説で見守る中、佐々木大地四段は師匠からもらった「勝負スーツ」で粘りの将棋を披露。若手チームに価値ある1勝目をもたらした。
若さゆえの過ちを、師匠譲りの粘りで乗り切った。団体戦のトップバッターとして登場した第1局。勝ち越しを目指す若手チームを勢いづけるために「結果を出さないといけない」と意気込んでいた。中盤まで順調に進めていた佐々木大地四段だったが、ここでミスを連発。「ひどい手を何度か指して動揺した」と言うように、形勢を引っくり返された。それでもここから粘るのは、師匠である深浦九段の持ち味と一緒。「常に苦しかったですが、諦めなかったことが逆転につながったと思います」と、胸をなでおろした。
勝負スーツも味方した。佐々木大地四段がフリークラスから順位戦C級2組に昇級した際、「晴れて一人前」と深浦九段からスーツをプレゼントされた。「すごく勝率がよくて。このスーツで負けたことはないです。今日も含めて5勝0敗です」。地元の長崎・対馬にも、活躍ぶりを伝えようと臨んだ一局。「ネットならいつでもどこでも見てもらえる。対局姿を見てもらえる貴重な場なので、特に気合が入りました」と、公式戦並みかそれ以上の気持ちを込めて指していた。
大きな壁として立ちはだかる40代のトップ棋士チームに対し、奨励会で8年近く苦労した佐々木大地四段が、貴重な1勝をもぎ取った。「いい波は作れたと思います。この後は自分たちより強い人たちばかりですから」と、次戦以降の勝利も期待した。「世代交代」がキーワードとなっている今回の対局企画。勢いの波は、まずは若手側に立ち始めた。
敗れた屋敷九段のコメント 終盤のまとめ方が難しくて、うまく食いつかれて負けたという感じ。若い方はみなさん強い。教わるとまではいかないまでも、こちらが挑戦するような感じになっている。今後、若手の中から誰が抜け出してくるのか、非常に興味がありますね。
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