将棋の20代若手棋士と40代トップ棋士が7人ずつのチームで団体戦を行う「若手VSトップ棋士 魂の七番勝負」の第1局が10月7日、AbemaTVで放送され、佐々木勇気六段(23)が「藤井システム」で有名なトップ棋士・藤井猛九段(47)に83手で勝利した。過去に1回だけ戦った公式戦では、藤井システムを回避しながら完敗した佐々木勇気六段だったが、今回は入念な対策が功を奏し、若手チームに連勝をもたらした。
逃げずにぶつかった。そして勝った。「藤井システムに挑戦することができました。また指したい研究手を途中で出すことができて、その後の力将棋でも、自分の納得いく手が指せたので満足でした」。苦い経験を糧にした若武者が、大舞台でまた一歩前へと進んだ。
将棋ソフトの誕生により、将棋の研究は居飛車で飛躍的に進んだ。棋士の戦型選択も、居飛車の割合が圧倒的に高まっている。そんな中、振り飛車道を突き進んでいる藤井九段には尊敬の念を抱いている。「藤井システムは、藤井先生のこだわり、1手1手の積み重ねでできていると思う」と語った。
今回の対局企画は、若手棋士が順に対戦相手となるトップ棋士を選んでいくシステム。佐々木勇気六段は最後で、藤井九段の対決が自動的に決まっていた。「他の若手の棋士は、振り飛車対策があまりないので、藤井システムを怖がって避けたんだと思いますよ」。若いころから探究心の塊のような努力を重ね、自らの道を切り開いた先輩棋士との戦いを、佐々木勇気六段は心から楽しみにしていた。
これで若手チームは2連勝。3局目に登場する中学生棋士・藤井聡太四段に、これ以上ない形でつないだ。「若手の活躍というのは伝導する(将棋界にとって)後押しになると思っています」と、鋭い視線で答えた。「世代交代」を掲げる若手チームの勢いは、さらに加速した。
敗れた藤井猛九段のコメント 藤井システムは私の得意型でしたが、佐々木勇気六段は研究をしてきていて、今回は1本取られました。自分もかつてはそうでしたが、20代前半というのは、1日経てば強くなる年頃。藤井システムは、まだ研究が手付かずの棋士が多いので、まだいろんな手が埋まっていると思う。
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