史上最多の29連勝を達成した中学生棋士・藤井聡太四段(15)が、AbemaTV独自のインタビューに対して、将棋ソフト(AI)が進化した現代において「プロ棋士の存在意義というものが問われる時代かなと感じています」と語った。研究にはソフトも活用する藤井四段だが、単なる強さだけでなくファンを楽しませることも棋士の使命と、早くも意識しているようだ。

 将棋ソフトと現役棋士の対局企画はここ数年で注目を集めたが、対局企画で佐藤天彦名人が敗れたことにより、純粋な強さという意味においては決着がついた。人間では不可能な処理速度で無数の対局をこなし、そのデータから学ぶ人口知能(AI)やソフトは、今はプロ棋士が将棋を学ぶツールとしても大いに役立っている。

 藤井四段 将棋の勉強でソフトを活用して、ということはかなり多いですね。自分の将棋を検討したり、自分でも(ソフト相手に)指してみたり。特に形勢判断のところで参考にしている部分は多いですね。

 活用はするが、1から10までソフトに習っているわけではない。それゆえに自分が選んだ手と、ソフトの一致率について、あまり意識することはないという。

 藤井四段 そこまで参考になる指標ではないと思っているので。一致率というよりも、全体的な指し手の精度を上げることを目標としています。練習対局もしますが、こちらが気がつかない筋を指されることも多くて、いろいろ発見があって楽しいです。

 ソフトとともに藤井四段の将棋を支えているものに詰将棋がある。古くから対局と同様に愛される詰将棋は、勝敗を大きく左右する最終盤の場面で、威力を発揮する。詰み筋が見えた途端に、一気に指し手のスピードを早め、相手にプレッシャーをかけるのも藤井四段の特徴のひとつだ。

 そんな中、将棋ソフトに敗れ“最強ではなくなった”プロ棋士のあり方に、中学生棋士はしっかりと価値を見出している。

 藤井四段 今まではプロ棋士というものは「将棋が強い」というのが一番の価値だったわけですけれども、将棋ソフトがこのように強くなったことで、そうとも言い切れなくなってきた部分もあります。そういう意味で、プロ棋士の存在意義というのが問われる時代でもあるのかなと感じています。プロ棋士として強くなるのはもちろんですが、ファンの方が見ていて面白いという将棋も、また大事な務めかなという風に感じているので、そこを両立できるようにしていきたいです。

 勝負が決まる1手に1時間以上考え込むこともあれば、時間がない中で冷や汗をかきながら指すこともあるのが、人間同士の将棋の醍醐味。対ソフトでは見られない人間ドラマを、藤井四段もこれから何度も描いていくことになる。

(C)AbemaTV

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