22日の投開票が迫った衆議院議員選挙。争点の1つである「教育無償化」に各党とも賛成の立場を示しているが、切り離せないのがどこからお金を絞り出すかという財源確保の問題だ。『けやきヒル’sNEWS』(AbemaTV)では、各党の主張と将来世代への影響について整理した。

衆議院の解散が決まった先月25日、安倍総理は「再来年10月に予定される、消費税率10%への引き上げによる財源を活用しなければならない」と具体的な方針を示した。増税分の財源5.6兆円のうち、当初は4兆円を借金返済に充てることが決まっていたが、変更後は借金返済を2.8兆円に留め、教育無償化に1.7兆円を使うとしている。
今回の選挙戦において、各党は教育無償化に前向きな立場だ。しかし財源については、与党が消費増税分の使途を一部変更するとしているのに対し、野党は財源を内部留保への課税(希望の党)や所得税・相続税、金融課税(立憲民主党)とするなど、消費増税には反対の意思を示している。
では、消費増税分を教育無償化に充てた場合と消費税を上げずに教育無償化を行った場合、“将来世代”にどのような影響が出てくるのだろうか。
2017年8月時点の国の借金は1079兆円。中部圏社会経済研究所の島澤諭氏の試算によると、消費増税分の一部を教育無償化に充てた場合、将来世代の生涯での負担が1人当たり270万円増える。一方、消費税を上げずに教育無償化を行った場合に増える負担は1人当たり541万円になる。前者は借金の返済ベースが落ちるのに対し、後者は予定の借金返済ができない分が負担となる計算だ。

テレビ朝日・政治部デスクの細川隆三氏は「将来世代に借金が付け回されるという意味では同じ」とどちらも根本的な解決にはならないと指摘する。「安倍政権の1つのキーワードが“人づくり革命”で、人への投資。国会で『保育園に入れない』という母親の声が取り上げられたことがあったが、それを受けて各党が子育て世代に向けてアピールしている。(与野党)どちらも借金の付け回しだが、“今は人に投資する”というのが安倍政権」。
また、教育だけでなく「介護」も重要だとし、「教育は次の世代が産まれるという構造はあるが、何年かの区切りがある。介護は、言ってしまえば親が亡くなるまで続く。介護政策はとても重要だがあまり語られていない」と問題点をあげた。

しかし、各党の介護政策は根本的な解決策として「疑問符がつく」という。「力の入れ具合からすると、各党子育ての方を向いている。子育て世代の声は大きいので、そちらをターゲットにしてしまう。『無償化』というのは受けがいいが、子育てと親の介護どちらもやらないといけないという人もいる。介護も重要な問題」と細川氏は見解を述べた。
(AbemaTV/『けやきヒル’sNEWS』より)



