バンクーバーのブリティッシュコロンビア大学でスペンサー・ウィリアムズを訪ねた。24歳のウィリアムズはラジオのパーソナリティとして活動している。ウィリアムズはバンクーバーに住む脳性麻痺の患者であり、「センシュアル・ソリューションズ」の顧客でもある。
「All Access Pass」というラジオ番組で障害に関連する問題を取り上げているウィリアムズ。今日はセックスと障害をテーマに熱く語っているという。ウィリアムズ氏はこのテーマで「ミニシリーズを作成つもり」だと話す。
▷毎週金曜夜11時からAbemaTVの「Documentaryチャンネル」ではVICEを放送
センシュアル・ソリューションズは、性治療士と呼ばれる専門家が性感的な「セッション」を提供し、性機能不全に悩む人や障害者を指導する。彼らの目的は依頼人の性生活の改善である。センシュアル・ソリューションズは障害者のケアを専門とする会社で、依頼人のもとに性治療士を送り、性生活上の問題を解決している。
センシュアル・ソリューションズの設立者であるトリッシュ・セント・ジョン氏に話を聞くと「みなさんが疎外感を味あわずに済むようにお手伝いをしている」という。
障害者の性に関する権利が議論に 運営は「法律ギリギリのライン」
カナダの法律では性的なサービスが規制されているため、こうした会社は法律に触れないギリギリのラインで運営している。性的なサービスを犯罪とする国では、障害者の性に関する権利が議論を呼んでいる。
ウィリアムズは「セックスの話はラジオや周囲の人間からは好意的に受け入れられている」という。障害者の性は非常に扱いにくい話題であったが、ウィリアムズは「センシュアル・ソリューションズが性と障害について違う視点から考えるように教えてくれた」と語る。彼にラジオ局で話すきっかけを作ってくれ、それにより同じような境遇の人が孤独感を持たずに済む。ウィリアムズが性について話すのは、他に代わりに話してくれる人がいないからだ。
ウィリアムズの母は、ウィリアムズがセンシュアル・ソリューションズの性治療士を活用することに納得していないが、理解はしてくれているという。母は人身売買に関する案件などを扱う弁護士で、性的な仕事とは無縁である。彼の母は、センシュアル・ソリューションズはサービスではなく、売春のように捉えているのである。父は母に対して「息子の選択を認めないのか。息子が夢中になれるものに対して価値を感じないのか」と怒っている。ウィリアムズには、代わりになるようなサービスなどないのである。
ウィリアムズは20歳を超えた大人で、自分で判断でき、深刻な影響が出てきても自身で対処できる。このサービスは、ウィリアムズの人権を守るためのものである。割高かもしれないが、お金で買えない価値があり、ウィリアムズはとても満足している。
27日(金)夜11時からAbemaTVの「Documentaryチャンネル」で放送のVICEでは、センシュアル・ソリューションズ本部で設立者のトリッシュ氏に直撃取材。障害者の性サービスが少ない最大の原因、障害者向けの性サービスを提供する女性にインタビューする。ぜひお見逃しなく。
(AbemaTV/Documentaryチャンネル『障害者の性に向き合う女性派遣サービス』より)
原題:Slutever: Inside the Controversial World of Medically Assisted Sex(2016)(C) 2016 VICE MEDIA, LLC