■参議院の民進党議員からは「恨み節」
24日、参議院総会を開いた民進党。参加者からは恨み節が止まず、小川参議院会長からは「マスコミに醜態をさらしたくないので平和なうちに収めたい」とのコメントも飛び出し、速やかに両院議員総会の開催を求めることを確認して終了した。
桜井充・参議院議員は記者団に対し「何となくみんなで集まって『ああでもない、こうでもない』と言っていると、結果的にはまたバラバラ感が出るだけ。やはりルールに従ってちゃんとやってほしいと、そういうお願いをした」とコメント。「道筋をつけてから辞める」としている前原代表に対しては「代表一任でお願いして、ああいう形になった。あれは絶対的に失敗だったと思っているので、今後代表一任はあり得ないと思っている。もう本人(前原代表)が辞めると言っているものをそれ以上押す必要はないと思う」との考えを示した。
結果的に衆議院の民進党を割ることになり、自身は無所属で出馬するという形を取った前原代表。今も肩書は「民進党代表」だが、小池代表率いる希望の党に移る可能性も取り沙汰されており、民進党では新代表を来月の特別国会までに選出する構想も浮上している。
その民進党分裂のきっかけを作ったとも言える、希望の党の小池代表。23日、「これからの国政の組織というか党として固めていく中で、そのまま代表を退くのはかえって無責任だと思う。前原さんも責任を果たしてと言っているが同じ気持ちだ。国政で勝ち上がった方は旧民進党の方が圧倒的に多いので、そこは皆さんのこれまでの色々なつながりなどを考慮して、前原さんとしっかり連携しながら、一番やりやすい形を求める流れにしたいと思う」と述べている。
24日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、民進党、そして立憲民主党から議員を招き、今後の動きについて話を聞いた。
■民進党・小西氏「前原氏を即刻処分しなければいけない」
ハフポスト日本版の竹下隆一郎編集長は、前原氏の態度を「本当によく分からない。早く責任を取った方がいいと思う」と話す。
「今回の選挙というよりも、旧民主党は政権交代も果たし、自民党に対抗できる政党を地道に作ってきて、国民も期待していたと思う。その旧民主党の財産、国民の財産を一気に壊してしまった。その責任は重い。この20年間の国民の試行錯誤はなんだったんだと思ってしまう」。
民進党の小西洋之参議院議員は、一連の希望の党合流をめぐる前原氏の言動について「詐欺、あるいは権力の濫用」と厳しく批判、「自分の政治信条で民進党を破壊しようとした。党規違反で即刻処分しなければいけない。除籍処分の審査請求も必要であればすぐに出す準備はしている」と話す。
「9月28日の両院議員総会で前原さんは"誰かを排除するという話ではない。民進党の政策と理念を曲げることはない"と言った。しかし、違う結果になった。総会で決めたことと違うことをやった場合、党籍を剥奪することができる。普通の会社だったら、営業担当の部長が担当外の営業をやって会社に大損害を与えたら即部長解任になる。前原さんがこの瞬間も代表をやっていること自体が民進党のガバナンス、公党のあり方としてもおかしい」。
立憲民主党に移籍し、衆院選で当選した阿部知子氏は「自民党に対抗するには、一定のボリュームを持たなければならない。私だって社民党から移ってきたし、みんなそれぞれ苦労した20年間だったと思う。今回の前原さんの選択もその延長上にはあったし、思いは否定すべきものではないが、"排除"は問題だった。政治は結果責任だから、民進党の代表の座に恋々としないで、すっぱり辞めて希望の党に行くなら行って、政治を前に進めた方がいい」とした。
小川参院会長は前原代表と話をしたことを明らかにした上で、「希望との合流を議論する必要はもうなくなった」とし、民進党を存続させる考えも示しているが、今後は立憲民主党と連携するとの見方もある。また、民進党員ではありながら、無所属で立候補した野田・岡田・江田・安住のベテラン議員4人も23日、今後の対応を協議。岡田克也氏は22日、「各党お互いが協力しながら、なるべく一つになって行動して、近い将来もう一度、一対一の(与野党対決)に持ち込めるような状況を作っていかなければいけないと思っている」と述べており、約20人の"民進党系無所属組"は衆議院に新会派の結成届を提出するとみられる。
参院、地方組織も含め、当面は残ることとなった民進党だが、立憲民主党、そして無所属組と合流する可能性はあるのだろうか。
小西氏は「当然、連携をしていくべきだ。立憲民主党は衆議院にしか議席がなく、民進党は参議院しか議席がない。安倍自民党が仕掛けてくる憲法改正に対して衆参で論戦していくためにも、年内をめどに一つの塊を作ることをやっていかないといけないと思う」との考えを示し、希望の党に参画した細野豪志氏、長島昭久氏らに対しては「もともと憲法観、外交・防衛・安保観が我々と明らかに違った。きちんと議論もしないような方々だった。リベラル保守、国民のための塊を作る意味でも、いなくなっていただいたほうが良かった。むしろ言っていることは安倍政権と同じなので、自民党に行かれてもいい」と皮肉った。
■立憲民主党・阿部氏「一生懸命、衆議院で自民党を追い詰める」
一方、野党第一党を勝ち取った立憲民主党も24日、両院議員懇談会を開いた。枝野代表は冒頭の挨拶で「開票日以来、野党再編とかどこのグループとどうくっつくのか、こんなことばかり聞かれ続けていて若干いらだちを覚えるが、いらついてはいけないと肝に銘じながら対応させて頂いている(笑)。考え方のほぼ共通している議員が我々の外側にいるのも分かっているが、永田町の内側の数合わせ、権力ゲームに我々もコミットしていると誤解されたら、今回頂いた期待はあっという間にどこかにいってしまうと思っている。私たちはそういう権力ゲームとは距離を置いて、国民の目線で、国民の皆さんの期待に応えていける、そのための歩みを進めるにはどうしたらいいのかというこの軸はしっかりと守りながら進めていきたい」と述べ、性急な再編には慎重な考えを示している。
福山幹事長も「民進党の参議院等との動きについては一般的に他党のことなので、こちらとしてはそれに対し、何らかの発信をすることはないし、関与することもないと私からも各議員には報告した」と述べ、他党の動きには関与しないと強調した。
立憲民主党の阿部氏は「一生懸命、衆議院で自民党を追い詰める。党を一つにするかどうかは、まだできたばかりの党でもあるし、しっかりと国民に私たちの衆議院での活動を見てもらって、その中で熟していくものだと思う。次は参議院で論点を引き継いでやっていくことは絶対に必要なので、当面は政策連携」と話し、小西氏の所属する民進党とともに共産党も含め政策面・選挙で協力をするとした。
しかし立憲民主党については、執行部が菅政権そのままとの指摘もあるほか、旧民進党との政策の違いがわかりにくいとの意見もある。阿部氏は両党の消費税増税などについて違いが明確ではない部分があるとの認識を示した上で、「政党ができたばっかりで政策については民進党時代のものをベースにして、考え方を整理させてもらったということ」と説明した。
朝日新聞によると、今回の総選挙では全289選挙区のうち226選挙区が野党分裂型で、結果は与党が183勝、野党が43勝だった。単純計算ではあるが、仮に立憲、希望、共産、社民、野党系候補が一本化なら、与党120勝、野党106勝となり63選挙区で逆転できていたのではとの分析がある。
神奈川12区で自民、希望との戦いを制して当選した阿部氏は、この分析について「その通りだと思う。野党同士で争うのは意味がない。安倍政権はとにかく国会を開かない、自分の疑惑隠しに政治を使う。主権者無視ここに極まれりで、この暴走列車を止めないと論議もできない。その意味で野党が協力して、なるべく統一候補者をということでやってきた。希望の党の問題がなければもっと戦えたと思う」と指摘。さらに「シミュレーションの結果もそう悪くなかった」として、民進党のままで選挙戦に入ったほうが良かったとの認識を示した。
竹下氏は「僕はそう思わない。今回枝野さんが勝ったのは、信念を貫いたから。単純に数を足したからといって安倍さんに対抗できたとは思わない」と反論。「若い人に自民党支持が多いのは、安倍さんの経済政策の方が信用できるということだろう。民主党や立憲民主党の"暮らしを守ります"というのはわかるが、内向きの議論ばかりで、このグローバル経済の中で日本に元気がない、世界とどう戦っていくのか、ということが見えない。批判はあるが安倍さんは株価を上げ、なんとか挑もうとしている。野党が結集しても、その視点が感じられないし、アベノミクスに対抗するものを出せなかったということが若い人たちにとっては問題だったのではないか」とした。
党内の情勢がまとまらない民進党、野党再編の軸となるのか注目される立憲民主党、今後のどのような展開があるのだろうか。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)