メタップス社が9月11日にスタートした時間売買サービス「タイムバンク」。専門家の時間が市場で売買され、購入した時間は専門家との相談、取材、食事への招待など、参加者が設定した内容で利用できる。市場の人気で、価格は1秒当たりで設定され、株式相場のように変動する。経営者から技術者、アスリートなど、各方面から注目を浴びているサービスだ。このサービスに麻雀界から先を切って参加したプロ雀士の石橋伸洋(37)に話を聞いた。

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 取材日時点で、石橋の時間には1秒あたり8.5円の値がついていた。「参加している人の中で一番安い方なんですけどね」。苦笑いしながら説明を始めたが、1秒8.5円は時給にして3万600円。石橋が設定している麻雀の指導、対局の1時間あたりのギャラが約3万円とイメージすると、分かりやすいだろうか。「もともと株には興味があって。それと似た仕組みなんですが、麻雀プロにはぴったりだなと思ったんです」と、参加した理由を明かした。

 麻雀プロの収入は、雀荘でのゲスト(客との対局)、教室などの指導がメイン。対局による収入は優勝やそれに準じる成績を収めない限りは期待できない。テレビの対局番組の出演ギャラなども、限られた人気プロに集中するため、多くのプロは生活基盤を整えるべく会社務めをしながらの“兼業”が多い。「男性プロはなかなか稼げないので。タイムバンクのようなところで、価値をつけてもらえるのはありがたいですね」。タイムバンク経由で指導の仕事がつくようになれば、これまで特定の雀荘など限られていた仕事の場が大きく広がる。金のやり取りも「間にタイムバンクが入るから直接はない」ので、トラブルの心配もないという。

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 早くから参加した理由は「麻雀プロ」という存在を、広く知らせるためでもあったという。「こういう新しいものを通じて、麻雀プロというものを知ってもらえればいいと思いました。麻雀ではまだ自分1人なので、自分が基準になると思う。自分の時間価値を上げられるようにファンの方、投資家の方に評価してもらえるような活躍をしていきたいです」。プロとして各種の大会で活躍することで、大会賞金を目指すのではなく、業界外からの収入を目指す。麻雀界にはなかった発想だ。石橋の秒単価が、各界の識者並みに高騰した時、麻雀プロは「憧れの職業」の1つに昇格する。

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