“文化系プロレス”と呼ばれるDDTではバラエティ色の強い試合が数多く組まれるが、トップ戦線では“迫力”や“怖さ”を感じさせる試合が行なわれている。その両輪があってこその人気だと言えるだろう。
11月23日の後楽園ホール大会では、メインイベントでKO-Dタッグ王座戦が行なわれた。チャンピオンはDDTのエース・HARASHIMAとノアの丸藤正道。挑戦したのは竹下幸之介&彰人組だ。竹下は団体の頂点・KO-D無差別級王座を保持する新エース。彰人、ディエゴとのトリオで6人タッグのベルトも巻いている。
丸藤が竹下を逆指名して決まったこのタイトルマッチ。竹下は少年時代から見てきた丸藤と、シングル王者として真っ向勝負を展開していった。一方、彰人はかつてHARASHIMAと同じユニットだったが、この試合に向けては何度も挑発。前哨戦でもある6人タッグ手権でフォール勝ちしてもいる。
彰人は得意とするグラウンドでHARASHIMAの足に集中攻撃。眉山(HARASHIMAのバックを取った彰人ごと竹下がジャーマンで投げる)など連携も見せていく。
さらにHARASHIMAの必殺技である蒼魔刀を切り返すと、かつて丸藤から授けられた「完璧足4の字固め」(足4の字固めに加え両手も抑える)へ。彰人にとっては最大の勝機だったが、これは丸藤が顔面へのフットスタンプで鮮やかにカットする。
ピンチを迎えたことで覚醒したのか、ここからHARASHIMAが“鬼”モードに。彰人のローキックにも微動だにせず、さらには顔面蹴り、踏みつけ連打とエグい攻撃を繰り返し、最後は蒼魔刀でトドメを刺した。
防衛に成功したHARASHIMAは、試合中とは打って変わって丸藤とともにいつものように明るく締め。次は12月24日の後楽園大会で、DAMNATION・佐々木大輔&遠藤哲哉の挑戦を受けることになった。クリスマスイブの対戦は「群れない、媚びない、結婚しない」を決め台詞とするDAMNATIONが有利か?
“カリスマ”という愛称でも知られる佐々木は。この日のセミファイナルでDDTエクストリーム級選手権の防衛に成功している。挑戦者の高尾蒼馬は前回の防衛戦で試合後もHARASHIMAをいたぶり続けた佐々木に怒り心頭。ノーDQマッチ(レフェリーが特に危険とみなした場合以外は反則裁定なし)で行なわれたこの試合、高尾はタライ攻撃、佐々木の両手に手錠をかけてのイス攻撃、佐々木の体の上にイスを重ねた上へのダイビング・フットスタンプなど厳しい攻めを見せる。しかしそれらを受けきった上で、佐々木は手錠を使ってのネックブリーカーで反撃。そして得意のNOW OR NEVERでイスの上に高尾を叩き付け、最後はクロスオーバー・フェースロックでレフェリーストップに。佐々木はこれで8度目の防衛となった。
セミ、メインともにプロレスならではの迫力がある好勝負。なぜかHARASHIMAにまで「ノアに帰れ」と主張するDAMNATIONの勢いも目立つ大会となった。
(C)DDTプロレスリング
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