社員間のコミュニケーションに悩む企業が多い中、社内での“部活動”がプロ級のパフォーマンスを発揮して、世に出るものが増えている。12月3日、サイバーエージェントグループ全体の社員で構成される約100人の麻雀部の頂点を決める「Cy高位決定戦」が、同社が運営する映像配信プラットフォーム「FRESH!」で配信され、麻雀プロ顔負けのスキルと大熱戦を見せた。また、今年5月にデビューしたアイドルグループ「東池袋52」は、既に3枚のシングルをリリースし、12月23日にはイベント出演も控えている。社内レクリエーションの域を超えた内容に、ファンもつき始めている状況だ。
かつての社内部活動といえば、第一目標に「社内のコミュニケーションの活性化」に掲げるところが多かった。当然、今でも大きな意味合いを持つことに変わりはないが、本格的に取り組むことで、大きな意味を持ち始めている。たとえば麻雀。サイバーエージェントの藤田晋社長自ら、トッププロレベルの雀士ということもあってか、多数ある部活動の中で、人数も多ければレベルも高い。厳選したメンバーで、社外と「企業対抗戦」を行うこともしばしばで、9月には8社を集めて大会も行った。麻雀部部長の梅原晋平さんは「かなりたくさんの対抗戦をしています。おかげさまで仕事でも、ありがたい関係が結構生まれています」と明かした。もちろんギャンブル的な要素は一切なく、終わった後には両社で酒を飲み交わしながら、「あそこに一打はこうだった」「あっちの牌を切っていれば…」と麻雀談義に花が咲く。「あの打ち上げがすごく盛り上がるんですよ」と笑った。
近年、社歴も社員も若いネット企業では、こうした社内活動が活発なところも多いが、その中でプロのアイドルグループを社内から生み出したクレディセゾンは実に特徴的だ。「東池袋52」を構成するメンバーは、初期24人に加え新メンバーが11人、サポートメンバー1人の計36人。すべて本社もしくは関係会社の社員で、公式ホームページを見れば所属部署まで分かる。主な事業内容は金融。かたいイメージもある創業66年の歴史を持つ企業からでも、こうした画期的な取り組みは生まれている。
企業のイメージPRとなれば、著名人を起用したCMなどが代表格だが、社員が本気で取り組むアイドルグループだけに、芸能活動としてのアイドルグループとは、また違った支持を得ることもできる。本社があるサンシャイン60と隣接するサンシャインシティで行う“凱旋”ライブに、どれだけの社員とファンが集まるかも注目だ。
年末ともなれば全社、部署、チームといったメンバーで、締めの忘年会が開催されると思われるが、この機会に社員同士で「プロデビュー、目指そうか」と本気で取り組んで見ると、企業も社員もまた違った景色が見えるかもしれない。
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