K-1ファイター登竜門「格闘代理戦争」。人選にかなり苦戦したものの、魔娑斗トライアルの勝者・松村、小川直也推薦の小倉拓実、武尊推薦のK-1アマチュアファイター、山本KID推薦のスソンの4枠は決定。すでにエントリーが決定した選手たちはK-1仕様へのトレーニングモードの突入した。
小川直也が推薦した柔道エリート、小倉拓実。中学、高校の全国大会で優勝した実績から強化選手に選ばれた逸材。さらに小川が力説するのは小倉が軽量級で勝ち続けて来た実績、誰にも負けないというスピードに一目置くものがあるという。
当然ながら「柔道家がK-1ルールで勝てるのか?」という疑問が真っ先に頭をよぎるが、柔道からプロレス、総合さらには立ち技にも対応してきた推薦人、小川直也が紛れもない証人といえる。
そんな小川の指南のもと、今回小倉が訪れたのがK-1ジム小比類巻道場。あのK-1で魔娑斗などと激戦を繰り広げた、ミスターストイックこと小比類巻貴之が開く道場である。
小比類巻がグローブ交えて真っ先に気づいたのは小倉の軸の強さ。「さすが、柔道だね」とあっという間に見抜いた通り体幹の強さは群を抜いているという。小比類巻の解説では「体幹がぶれないとパンチを貰った後にすぐ返せる」というもの、どんどん攻めることができ、もしパンチを貰ってもパンチで返せるというのが体幹の強さのメリット、「数発貰いながらも体がブレずにパンチを返して行くと対戦相手もなかなか入ってこれなくなる」そう小比類巻は解説する。
K-1や立ち技格闘技の経験では、エントリーしている推薦選手の中で一番後発で不利と言われている小倉だが、そこは格闘エリート。どんどんコツを飲み込みはじめ、小比類巻の分かりやすく選手の特性を見極めた指導もあり仕上がっていく。
小比類巻は小倉を「ファイタータイプの選手」と断言。「ボクサーという長い距離で戦う選手と、ボクサーファイターという中間で戦うタイプ、そしてファイターというガチガチで戦う、打たれても行くというタイプのスタイルなんですよ。僕が彼を仕上げるなら近距離で戦うファイターです。」
この短時間の練習でK-1の打撃要素をどんどん吸収する小倉。小比類巻は「キックボクシングというのは初動の競技。柔道の掴みで初動が速いということは、そのスピードを活かしてパンチや蹴りができれば、彼もそのレベルに行けると思います。」と断言。さらに道場の企業秘密として撮影NGだった「ファイターとしてのリングの使い方、リングを味方につける方法」も指南してくれるという小比類巻、さらに「僕がセコンドに付けば勝てると思います」と断言する。
「小倉が勝つにはこのリングの使い方が重要」とすでに小川直也陣営というより小比類巻のチームに入った方が…と思わせるほど心強い発言から、もはや「魔娑斗VS小比類巻の代理戦争」と錯覚してしまうほどの展開だ。
その後、人生初のスパーリングで、キャリア1年のK-1アマチュア相手に一方的なサンドバックになり追い込まれる小倉拓実。小比類巻の予告通り「やはり課題は距離」にあるようだ。恐ろしく荒削りながら、その負け気の強さに一目を置く小比類巻。思った以上にハードルの高い柔道エリートの挑戦に勝算はあるのか?注目だ。