対局中、しゃべらず険しい表情で指し続けるだけに地味なイメージを持たれることも多い将棋だが、プライベートで見せる素顔はごく普通、ということも同じくらい多い。女流棋士が集まれば、やっぱりガールズトークで花が咲く。AbemaTV「花の三番勝負 白黒はっきりつけましょう」の第2局に登場する塚田恵梨花女流1級は現在19歳。「話題ですか?同世代の大学生と同じだと思いますよ」と自然体で答えた。
知的なゲームゆえに「頭がよさそう」というイメージを持たれやすい将棋界。事実、膨大な数で分岐する手を読み、頭の中でイメージし、その中から選択する作業は、並大抵ではない。これと同時に和室で黙々と長時間指している様子から「かたい」「難しい」「地味」という印象も、縁遠い人ほど強く持っている。では女流棋士が集まっても、真剣な表情で将棋のことばかり話しているかと言われれば、そうではない。「最近だと化粧品とか洋服とか、トレンドのこととか話しています。普通だと思いますよ」と、にっこりと笑顔で返した。
笑顔にはわけがある。以前、同様に女流棋士の素顔について、取材を受けた時のことだ。「『意外と普通の女の子だね』と言われたことがあって、それがうれしかった思い出があります」と、今時なら「記者の偏見だ!」と騒がれかねない話を語り出した。彼女は棋士であると同時に、当然ながら1人の女性である。特に塚田女流1級の場合は、両親も棋士。将棋界のサラブレッドである。それだけに「普通の女の子」と言われたことが、うれしかったのかもしれない。
これまた棋士のイメージとして強い記憶力については「よく1000手先読むとか言いますけどね。記憶力はいい方だと思いますけれど、実生活に生きるかどうかは別ですね」と、また笑い出した。「私は忘れ物とか多いですよ。携帯、どこに置いたっけ?みたいな」。終始、取材者に対して丁寧に笑顔で答え続ける姿や内面があるからこそ、真剣に指し続ける様子にファンは心を掴まれる。
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