世の中には無数の教育法が溢れている。むしろそれだけ教育法に悩む人が多いということでもある。そんな中、ご褒美のプリンで将棋の勉強のモチベーションを高めた女流棋士がいる。AbemaTV「花の三番勝負 白黒はっきりつけましょう」の第3局に登場する里見咲紀女流初段だ。「父に見事に釣られましたね。成績に応じてプリンやパフェがもらえたので」と、少し恥ずかしそうに明かした。年頃の女の子にとって、デザートの魅力は将棋の勉強という苦しいものも凌駕する、絶大な威力があった。
里見咲紀女流初段の姉は、女流棋士界のトップに君臨する里見香奈女流五冠。姉妹でプロ棋士となっていることから、将棋センスは持って生まれたものもあっただろうが、厳しい父の指導の影響か、里見咲紀女流初段はあまり将棋が好きではなかった。「父はめちゃめちゃ怖かったんですよ。私の経験を他の棋士の方に言ったら『それでよく続けたね』って言われるくらい」と首をすくめた。間違った手を指せば「そんな手は絶対にない!」と怒鳴られる。もう辞めると言えば「じゃあ辞めろ!」と突き放される。とにかくスパルタだった。
ここで里見咲紀女流初段を将棋につなぎとめたのが、プリンだ。「父と1カ月100局指す、というのがありまして。何局以上勝つとプリン、さらに勝つとパフェみたいにグレードアップしていくんです。勝ち越すとフルコンボ、みたいな。私にはすごく効果的で、そのおかげで将棋していましたね」と、我が事ながら大笑いした。このほか父お手製の将棋ボードには詰将棋、定跡、ネット将棋と課題が並び、クリアする度にもらえるサインやシールを集めると、プリンをはじめとするデザートになった。
学校のテスト勉強中だった娘に向かって「将棋のプロになれば、学校の勉強をしなくていいよ」とまで言った父の願いは、姉妹によるタイトル戦だという。当の里見咲紀女流初段は「はい、はいって聞き流していますけどね」と語ったが、必殺のプリンが再び威力を発揮すれば、その夢も実現するかもしれない。
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