DDTのシングル最高峰タイトル・KO-D無差別級王座を保持する竹下幸之介が、12月24日の後楽園ホール大会で10度目の防衛に成功した。すでに最多防衛記録は更新しているが、それをさらに伸ばしたことになる。
今回の挑戦者はアメリカの個性派にして実力派でもあるコルト“Boom Boom”カバナ。「俺のレスリングはコメディスタイル。相手を笑わせて、その隙を突いて勝つ」というカバナはトリッキーな闘いぶりで会場を沸かせつつ、竹下を苦しめる。しかし竹下も絶妙なバランスで相手の土俵に乗りつつ“ツッコミ”に回ることで存在感を発揮していった。
カバナも持ち味をきっちり出し、その上で竹下はロールスルー・ジャーマンを決めて勝利。3月にベテラン・HARASHIMAから奪った王座を年内最後のタイトルマッチでも守り抜いた。
さいたまスーパーアリーナでの20周年記念大会でタイトルを奪取、そこから様々な対戦相手とハイクオリティな防衛戦を重ねていくことで、竹下は新エースとして大きな成長を果たしている。高校生でデビューという早熟ぶり、現在もまだ22歳ということで「苦労を知らない」という批判もあるようだが、“大社長”高木三四郎は「あの若さで頂点に立って団体を引っ張るんですから。苦労なしにできるわけがないでんすよ」と言う。
アスリート的な能力の高さ、技の見事さだけでなく男色ディーノ戦、今回のカバナ戦など“DDT色”の強い試合、さらには路上プロレスも得意とするあたりが竹下らしさ。物心ついたときからのプロレスマニアだけに、あらゆるシチュエーションを楽しむことができるのだろう。カバナについては、こんなコメントを残している。
「プロレスを楽しむ気持ちが凄かった。試合は命がけだから、誰だって怖さを感じるもの。でもカバナ選手からはそれを一切感じなかった。ひたすら自分が楽しむ。あれくらい自分の道を貫きたいなと。勉強になりました」
試練の闘いを成長の糧にし続けた2017年。カバナはその締めくくりにふさわしい挑戦者だったと言えるだろう。
年明けからはリーグ戦『D王グランプリ』がスタート。そこから3月の両国国技館大会へと続いていくのが2018年最初の山場になる。結果を出し続けていることで「竹下なら大丈夫だろう、という油断した雰囲気になってしまうことが一番怖いですね」という竹下。リーグ初戦では、WRESTLE-1の黒潮“イケメン”二郎との対戦が決まっている。まさに気が抜けない相手であり、新世代を担う選手の激突としてリーグの星取り以上の意味がある闘いだ。
文・橋本宗洋
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