大阪のゲームセンター運営会社アミューズメントトラストの社長・大平剛史容疑者ほか従業員ら5人が、詐欺の疑いで逮捕された。大平容疑者らは系列の複数のゲームセンターでクレーンゲームの景品が全く取れない設定にしたうえで、20代の女性客4人に「絶対に取れる」などと勧誘。現金約47万円をだまし取った疑いが持たれている。

警察には2015年以降、少なくとも36人約600万円の被害相談が寄せられていた。今回警察が押収したクレーンゲームの1つは、代金が1回500円~1万円と高額なもの。ボタンを押してハサミを横に動かした後、さらに前に動かし最後に紐を切って景品を獲得するクレーンゲームでは、大平容疑者の店では絶対に紐が切れないように、ハサミを動かしても位置がずれるよう機械の設定を変えていたという。
従業員の5人は容疑を認めているが、社長の大平容疑者は「不正な操作は従業員に指示していない」と容疑を否認している。
今回、機械の設定に加えて悪質なのは従業員が煽ってクレーンゲームを続けさせたことだが、客はなぜ途中で止められなかったのか。“損切りできない人”の心理について、『けやきヒル’sNEWS』(AbemaTV)では臨床心理士で明星大学准教授の藤井靖氏に見解を聞いた。

藤井氏は「景品への欲がベースにある」とした上で、損切りできない人の感情を2つあげる。「1つは『怒り』。景品を取れない自分に対するものと、何でうまくいかないんだというゲームに対するものが生まれる。もう1つが『迷い』。このゲームは続けるべきなのか、自分の中に迷いが生じる。その時に『もうちょっとやったら取れますよ』『こういう風に成功するんですよ』と煽られて、迷いの感情が自分でコントロールできない状態で背中を押されると『やる』という方向に向かってしまう。怒りや迷いなどの感情をコントロールできなくなると、どんどん続けていってしまう」。
さらに、藤井氏は自身が20年以上クレーンゲームを遊んできた経験として、最近のものに“抽選の要素”を考える必要があるという。「クレーンの爪の強さが何回かに1回強くなったり、ハサミで紐を切るタイプでは明らかに位置が合っていてもずれたりする。ファンの中では最近のクレーンゲームにそのような抽選の要素があることは常識になっている。そうでなければ技術で毎回取れてしまうので、お店が抽選の要素と技術を組み合わせること自体はおかしなことではない」と自身の見解を述べた。
(AbemaTV/『けやきヒル’sNEWS』より)


