2017年、格闘技界を締めたのは堀口恭司だった。大晦日のRIZINさいたまスーパーアリーナ大会、そのメインで石渡伸太郎を下し、バンタム級GP優勝。圧倒的な強さと言うしかなかった。
そもそも、このバンタム級GPは“堀口ありき”だった。UFCフライ級のトップで活躍していた堀口だが、RIZIN参戦の1試合目で見せたあまりの強さに「同階級よりも上の階級にチャレンジするところが見たい」という主催者の意向でバンタム級GP開催が決まったのだ。
しかし階級を上げても、堀口の強さは変わらなかった。開幕戦では所英男をノックアウト。12月29日の2回戦ではガブリエル・オリベイラに何もさせず、またもKOで勝利している。そして2日後、大晦日のファイナル・ラウンドでもその強さは際立っていた。
準決勝、マネル・ケイプ戦ではバッティングでダメージを受けるアクシデント。パンチを被弾して右目の上から出血も。この試合は肩固めで一本勝ちしたが、もし決勝の最中に傷口が開けば勝負に大きく影響する。嫌な予感がするタイプの負傷だった。
決勝の相手は石渡伸太郎。パンクラス王者で、2013年の『VTJ』で堀口と対戦している。今回の参戦も、堀口にリベンジするためだ。石渡はその意地、執念を決勝戦で見せた。1ラウンドに強烈なパウンドを食らいながらも立ち上がり、打ち合いを挑んでいったのである。
さらに2ラウンドも勝負をかけて前進する石渡。しかし、ここで堀口が強烈な右をヒットさせてダウンを奪い、追撃のパウンドでフィニッシュ。終わってみれば大本命・堀口の優勝、全試合KO・一本での勝利と内容も文句なしだった。
決勝戦でのKO勝利を「計画通り。納得してます」と語った堀口。石渡がそう簡単には屈しないことも前回に対戦からインプットされており「想定内だった」と言う。勝つべくして勝った。堀口にとってはそんなGPだったのだろう。
「これからがスタート。もっともっとRIZIN、日本の格闘技を盛り上げますんで」と堀口。新世代の台頭が目立つRIZINにあって、今後もその中心を担っていくことになるだろう。また元UFCファイターのイアン・マッコールや石渡の参戦などは“堀口効果”と言えるもの。RIZINのグレードを上げるという面でも、堀口は重要な存在だ。