今年で3回目となる東京女子プロレスのビッグマッチ“イッテンヨン”後楽園ホール大会(1月4日)が、過去最高、超満員となる1201人の観客を集めて行なわれた。
(試合後のインタビュー中にも涙を見せた才木)
新木場1st RINGなどで毎回、満員の興行を続けてきた東京女子プロレス。“噂が噂を呼ぶ”状態で迎えたこの大会で、ついに聖地・後楽園をも観客で埋め尽くしてしまった。
メインイベントは団体のシングル王座TOKYOプリンセス・オブ・プリンセスをかけての選手権試合。王者・才木玲佳に団体生え抜きのエースである山下実優が挑んだ。“筋肉アイドル”としてタレントとしても活躍中の才木に対し、山下は初代王者。優宇に敗れて1年あまりタイトル戦線から遠ざかっていたが、だからこそベルトへの執念も凄まじかった。
試合は両者がそろって予告していたとおり、得意とする蹴りをこれでもかと打ち合う展開に。山下は場外戦で蹴りを鉄柱に誤爆してしまう場面もあったが、それでもひたすら蹴っていく。才木はドロップキック、ミサイルキック、さらに武藤敬司公認のシャイニング・ウィザードで追い込んだが、最後は山下が多彩な蹴りを連発で決め、クラッシュ・ラビットヒート(ランニングキック)で3カウント。ヒザを正面から叩き込むような一撃だった。
(蹴り合いを制したのは山下の必殺技クラッシュ・ラビットヒート)
昨年8月にチャンピオンとなり、2度の防衛に成功してきた才木だが、ここで王座陥落。インタビュースペースでは「チャンピオンとして、まだやり残したことがあったんですけど……」と涙を見せた。
チャンピオンとして、才木は「東京女子プロレスを世の中に広める」という役目を自分に課してきた。結果として、志半ばでの敗北となってしまったということだろう。とはいえ、才木が昨年夏以降の東京女子プロレスの中心だったことは確か。後楽園超満員に大きく貢献したことも間違いない。王座奪還を果たした山下も「ここから才木もどんどん強くなると思う。また闘うのが楽しみです」とコメントしている。
その山下には、1月7日の大阪大会でベーダ・スコットが挑戦する。ベルト海外流失の危機という初の状況でどんな闘いが見られるのか。今年の東京女子プロレスは計3度の後楽園大会を開催。いよいよその人気が本格化していきそうだ。
文・橋本宗洋
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