東京女子プロレスのリングには、数多くの芸能人、アイドルが選手として登場している。それが人気の要因の一つなのだが、といって単なる「話題性ありき」のものでもない。そのプロレスに取り組む姿勢はあくまで本気だ。

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(ディーノに完璧なリップロックを決めた伊藤。ファーストキスで勝利に近づいた)

福岡のアイドルグループ・LinQのメンバーだった伊藤麻希はプロレスの練習に本腰を入れるため、単身上京。「今闘えるアイドル」を名乗り、LinQ卒業が決まると「闘うクビドル」としてさらにファンの目を引くことに(現在はLinQから派生した新ユニット・トキヲイキルに所属)。頭突き、逆エビ固めなど技のバリエーションは少ないものの、気合いが入りまくった試合ぶりは東京女子プロレス名物になっている。

試合後のマイクアピールでは松井珠理奈、秋元康と誰彼構わずケンカを売り、1月4日の大一番、後楽園ホール大会では「伊藤リスペクト軍団」でCDデビュー&DDTの看板選手・男色ディーノと対戦することになった。

ディーノはこの異色カードに「伊藤が可愛くないことを気付かせる」とミもフタもないテーマを掲げ、ボディスラムを連発するなど伊藤の打たれ強さ、レスラーとしての覚悟を問うような厳しい攻撃を見せていく。これに耐え抜いた伊藤は急所攻撃で挽回すると、ディーノの得意技であるリップロックを逆にお見舞いして観客を驚愕させる。

リップロックとは唇で唇を固めて「落とす」技であり、アイドルが公衆の面前で仕掛けることなど本来ならありえない。最後はスクリューパイル男色ドライバーに沈んだ伊藤だが、ありとあらゆる手段を使って観客を盛り上げ、勝ちにいく姿はバカバカしくも胸を打つものがあった。観客はそんな伊藤に大コールを送っている。

ちなみに「あれが初キスだったんだけど」と伊藤。しかしあくまで「勝負のためのキスだから。好きな人とするのが本当のキス。それはこれから」と未来に胸を膨らませてもいた。また伊藤ファンには「レスラーになったら伊藤とチューできるかも」とのメッセージも。今後は「菅田将暉としたい」とのこと。今のアイドルは「可愛いだけではない」とよく言われるが、伊藤はそのことをあらゆる意味で体現してみせた。

また、この1.4後楽園大会では、アップアップガールズ(仮)の妹分グループであるアップアップガールズ(プロレス)が試合デビュー。ミウ&ヒナノvsラク&ヒカリとメンバー同士のタッグマッチで第1試合に登場した。

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(アプガ(プロレス)のデビュー戦。メンバー同士の対戦ながら勝者と敗者のコントラストはくっきり)

個別のオリジナル入場テーマで入場した4人たが、試合が始まればあくまで新人レスラー。グラウンドからコブラツイスト、ドロップキックなど基本的な技でぶつかり合った。奇をてらわない、新人らしい試合だ。そんな中で存在感を見せたのがミウ。ソフトボール部出身で「力には自信があります」というミウはベアハッグ、逆エビ固めとパワーを活かした攻撃を繰り出し、カナディアン・バックブリーカーでヒカリをギブアップさせた。

実はメンバーの中でヒカリが唯一、最初からレスラー志望だった。そんな人間がデビュー戦で敗れ、「プロレスが好きなだけじゃ勝てない」と涙を見せたのも印象的だ。逆にアイドル志向の強いメンバーたちはプロレスに対しての戸惑いもあったが、試合を経験したことでリングに上がる喜びを知ったようだ。

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(休憩明けにはアプガ(仮)とリングに。曲も披露した)

アプガ(プロレス)のメンバーは時間をかけて練習を重ね、セコンドや紙テープの片付けなど新人としての仕事もしっかりこなしてきた。試合の後にはアプガ(仮)とリングに再登場、曲も披露したが、彼女たちも伊藤同様に「アイドルであること」を活かしはしても甘えはせずに闘っていくだろう。

Photo:(C)DDTプロレスリング

文・橋本宗洋

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