知らず知らずのうちにアスベストに侵され、重い病との戦いを余儀なくされた人たちがいる。なぜ、社会問題に発展するまで使用や製造を止めることができなかったのだろうか。
 アスベスト(石綿)は繊維状の天然鉱石で、耐熱性・絶縁性・保湿性に優れていることから「奇跡の鉱物」と呼ばれ、ドライヤー、魚を焼くための網、理科の実験器具などにも使われていたほか、戦前から建設資材を中心に自動車や造船など様々な用途に使用され、日本の高度経済成長期を支えた。