実力派の麻雀プロ・鈴木達也(日本プロ麻雀協会)は、RTDリーグ2017で持ち前の門前高打点を貫く我慢が足りず「後悔の念が強い」という。そこで自身の精神力を鍛え直すために、ダイエットを決断。既に1カ月半で8キロ落とし、ベスト体重まであとさらに8キロ落とす覚悟だ。雀王さらには最強位にも輝いた金太賢(日本プロ麻雀協会)も、ダイエット成功から大ブレイクした実績もある。3年目で「背水の陣」と語る決意を聞いた。
「ここ1、2年“迷宮入り”した打ち方をしてきた部分もあり、正直不甲斐ない」。3年連続の出場となる鈴木達也は、神妙な面持ちで語り始めた。卓上のファンタジスタと呼ばれ、手牌を育て上げる構想力と忍耐力は天下一品。麻雀ファンにとっては周知の事実だが、RTDリーグでは思うような結果が残せず辛酸を舐めている。
特に昨年は自分の麻雀とは違うことをやろうとしていたと猛省する。ここ数年勝ち切れないことを考慮し、普段仕掛けないところで仕掛けを入れたものの、仕掛け倒れとなり、そこであがき、結局は悪い方向へ。そんな迷走を繰り返す最悪のパターンに入ってしまったと悔いているのだ。「雀王を取って以来(2011年以降)、これまでは運が良かった」やはり自分らしく、我慢の麻雀を貫いて戦っていくしかないと再認識した1年だったと振り返った。
したがってRTDリーグ2018は、原点回帰の場と捉えている。そのためにも、体も万全な状態で臨めるよう生活習慣を変えた。昨年までは対局前になると、気負いすぎて眠れなくなり、不眠のまま何も食べずに、飴だけ舐めて対局することが多かった。しかしそれではダメだと痛感し、ベストパフォーマンスを引き出すために、対局前は睡眠と食事をきちんと取り、リラックスして対局に入れるよう心がけるという。それでも負け続けていくのであれば、プロとしては失格。「背水の陣」で挑みますと、この2年間味わってきた苦い経験を生かす覚悟だ。
メンゼン高打点が信条だけに、勝負手がアガれないことは織り込み済み。それを承知の上で「手役にはやはりこだわりたい」という。こだわればこだわるだけスピードは遅くなるが「それでも勝てるんだぞというところで勝負をしたい」と決意に揺るぎはない。訪れるであろうチャンスは1度か2度。それを確実にものにしてドカーンとアガったら後は徹底的に守備を固める。ただその守備においても、簡単に中抜きはせず、ギリギリまで攻める。「それがプロの矜持」と、言葉に力を込めた。
その決死の覚悟は、すでに体に現れていた。来るべく初戦を前に、糖質制限とジム通いで体重を8キロ落とした。目標は65キロ。「明らかに体の動きはよくなってきています。達成したら髪も切ろうかな」と笑うが、自身の麻雀も我慢が真骨頂だけに、その意志は固い。背水の陣で臨むRTDリーグ2018。体を絞ってきた卓上のファンタジスタはどんな夢を見せてくれるのだろうか。【福山純生(雀聖アワー)】
◆鈴木達也(すずき・たつや) 1977年8月22日、埼玉県生まれ、AB型。日本プロ麻雀協会所属。第2・6・10期雀王。異名は「卓上のファンタジスタ」。
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