
※内閣官房HPより
日本政府は今年、「明治150年」に関連して様々な記念事業を計画している。これに対して、安倍政権の一員である野田聖子総務大臣は15日、金沢市で行われた講演で「明治維新のことをなぞっても次の日本は描けない。私たちはここで決別していかなければならない。『あの時はよかった』『明治維新をもう一度』というわけにはこの国はいかない」と疑問を投げかけた。
野田大臣は「明治は強い一握りの人が国を支えた時代」と指摘。急速に高齢化が進み、価値観や人口構成が全く異なるこれからの時代には合わないとして「強い人を強くするのではなく、弱者をなくす時代をつくるべき」と主張した。
政府が進める「明治150年」と安倍政権内部からあがった批判について、『けやきヒルズ』(AbemaTV)に出演した歴史学者で東京大学教授の本郷和人氏は「簡単に決別していいと言える歴史ではない」と見解を述べた。

「明治維新とひと言でいっても、『強い一握りの人が国を支えた』と簡単に決めつけるわけにはいかない。いろいろな動きがあって、その中で僕たちがこれからどうやって前進していくかという指針になるものがたくさんある。そう簡単に決別していいと言える歴史ではない」
野田総務大臣の発言に対して異議を唱える本郷氏。過去に「明治100年」で巻き起こった論争にも言及する。
「今から50年前、『明治100年』をお祝いしようというもっと大きな動きがあった。それに対して、当時“左”の人たちは『戦後20年』を持ち出してきて、どちらなのかという論争が巻き起こった。あっさり明治100年の方が勝つわけだけど、今は右や左というのはなくなって、明治150年に対する対抗軸が出てこないような状態」

また、その対抗軸の「良し悪しは別」としたうえで本郷氏は「明治という時代、僕たちの先輩は調べれば調べるほどものすごく頑張った。先進諸国に追いつけ追い越せということで一生懸命やってきた。そういうところを決別しないで学んだほうがいいと思う。あの時代に国家を支えようと頑張っていた人は、みんな1人で外国に行って勉強してきた。当時の外国は今でいえば宇宙みたいなもの。そういうところで必死になって勉強してきた先輩たちの、力強い歩みのようなものを僕たちは知るべきだし、それを生かしていくべきだと思う。良いところともちろん悪いところもいっぱいあって、決別ではなくいいところは参考に、悪いところは教訓にすべき」と、歴史を振り返ることの重要性を訴えた。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)


