1月27日、今年初開催となるKrush後楽園ホール大会のメインイベントは、-70kgタイトルマッチだ。王者ジョーダン・ピケオー に挑むのは山内佑太郎。1月25日が誕生日だから、試合時点で40歳になるベテランファイターである。
過去に全日本キックボクシング連盟で2階級制覇、WBCムエタイ日本王座を獲得しており、中量級屈指の強豪として活躍してきた山内。独自のリズムを持つテクニカルな試合運びが持ち味だが、Krushでは王座獲得のチャンスをことごとく逃している。
対日本人無敗、K-1でも活躍するピケオーへの挑戦は、山内にとってまさに正念場。ピケオーは防衛戦に向け「壮絶なKOでリングに沈める」「彼はそろそろキャリアを終わらせてもいいんじゃないか」と自身たっぷりのコメントを残している。
一方、山内はベルトから遠ざかりながらも「ベルトに挑戦したい、絶対にベルトを巻きたいという思いはずっとフツフツとある」という心境だったという。あらためてミット打ち、サンドバッグなど基本的な練習にも重点を置き「地盤の底上げ」にも取り組んできた。
佐藤嘉洋、日菜太といったトップファイターを下しているピケオーは、山内にとってキャリア最大の強敵の1人だろう。山内自身「普通に、よーいドンでやったら敵わない」と語っている。だからこそ山内の頭脳とキャリアがモノを言う試合にもなりそうだ。曰く「相手が思わないような攻撃、なおかつイヤな攻撃をコツコツ積み重ねていけばチャンスが来るんじゃないかなっていうイメージで練習しています」。
キャリアを重ねた選手ならではのモチベーションもある。
「すごくたくさんの人が僕を応援・サポートしてくれて、僕は本当に周りに助けられています。僕にはその人たちを喜ばせたいとか一緒に喜びたいという想いがあります。Krushのベルトを獲って、それを巻いてみんなに会えたらすごく嬉しいし楽しいだろうなって」
仲間たちの笑顔を想像すると元気が出る、と山内。ピケオーを「バケモノみたいな奴」、自分を「凡人」と言い「凡人の僕が40歳になってそんな選手に勝っちゃったら盛り上がるな、スゴいな、オレも頑張ろう、私も頑張ろうって仲間たちは思ってくれるんじゃないかなっていう気持ちもあります。それが僕のパワーの源になってますね」とベルト獲りへの意欲を語った。
すでにプロ50戦を経験。若い選手が次々と台頭してくるKrushで踏ん張り続けるベテランの姿はドラマチックであり、仲間たちだけでなく一般の観客、視聴者の感情移入も誘うのではないだろうか。