Twitterを中心に今、阿炎(あび)の四股がキレイ!と話題になっている。大相撲の面白さは勝ち負けだけに限らず、力士が土俵に上がってから、いざ相撲を取るまでの様々な動き、所作(しょさ)にもある。
だって一見静かに見える動きの合間に、視線バチバチ、気持ち上げ上げMAXな、見えない闘いがもう始まっているんだから!そうした所作の中でも基本中の基本、力士が最初にやる稽古の一つでもある「四股」に、今改めて注目が集まっているのだ。
阿炎の四股は、最初は少し膝を曲げながらゆっくりと片足を上げ、その足をピンとまっすぐ伸ばす。その状態でも身体がふらつくことなく、まるでフィギュア・スケートのスパイラルのように華麗! そしてその上げた足を、つま先から土俵にのめりこむように下ろしている。ほぉ~、美しく、力強い。187センチの長身にして足が長~い阿炎だからこそ、さらに映える。
今場所、新入幕(最高ランクの幕内の力士に初めてなった)。伸び盛りの阿炎、23歳。普段はけっこう中々にハッピー系キャラで、土俵の上でもそれが生きてのびのび相撲を取るのがいいところ。四股もいいけど、もちろん相撲もね、見てください。
ちなみに四股名の阿炎というめずらしい名前は、イケメン師匠の錣山(しころやま)親方の子ども時代のニックネームらしい。師匠のニックネームをしこ名に持つなんて、阿炎だけでしょう!
さて、四股にさらに注目すると、今いる関取では遠藤の四股も美しい。美麗力士の代表的存在の遠藤、四股も綺麗なんだから! こちらは阿炎より少し足まっすぐ伸ばして上げる。
よく見ていると、足を上げるときに膝を曲げてから伸ばす系と、最初からまっすぐ伸ばしてる系の力士がいて、数年前に片山という「四股が芸術的」とまで言われた関取がいて、彼は恐ろしいほど足をまっすぐなまま上げていた。遠藤もどちらかというと、まっすぐ系。
そして休場中の宇良も四股、キレイです! 様々な技を繰り出すことで知られる宇良、やっぱり柔軟な足腰を持ってるんですね、ちょっと足が短めなので(失礼!)阿炎ほど目立たないけど、四股もピッと美しい。けがを治して、またその四股を見せてほしい。
それから、十両の明生(めいせい)も忘れちゃいけない。身長178センチと、彼も宇良と同じく力士としては小柄な方なので目立たないが、四股、綺麗です。まっすぐ伸ばしたまま上げる系です。見て下さい。
幕下以下の力士では、宝香鵬(ほうかほう)も綺麗な四股を見せてくれる。彼の四股は、同じ宮城野部屋の横綱・白鵬をどこか思い出させる堂々としたもので、目標にしてるのね~と目を細めて見てしまう。
ところで四股はただのデモンストレーションではなく、地中の邪気を祓い、大地を鎮める神事から始まったと言われる。元々相撲それ自体が邪気を祓い、清め、五穀豊穣を祈るためのものだったから、四股はとっても意味深い。
さらに四股のルーツを辿れば、お神楽で見られる「へんばい」という、やはり邪気を祓う独特の歩き方(舞踊)をする儀式にも通じ、さらにさかのぼると中国の伝説へ至る……って、もう、四股だけで1本の歴史ドラマが出来てしまいそうだわ。
ちなみに四股は健康づくりにも美容にもいいそう。たかが四股、されど四股。実は奥深~いものなんです。【和田静香】