魔裟斗、小川直也、山本KID徳郁、武尊の4人のレジェンドファイターが選んだアマチュア選手をトーナメントで競わせる「格闘代理戦争」(AbemaTV)。1月27日、後楽園ホールで開催される「Krush.84」のリングで、魔裟斗の推薦選手・松村英明と武尊の推薦選手・中嶋志津麻が決勝戦を戦う。
「代理戦争」の名の通り魔裟斗vs武尊という、師匠を介したドリームマッチという話題性は見逃せないだろう。K-1 MAXのカリスマとして、旧K-1の中量級王者として世界と闘ってきた魔裟斗がはじめて指導した弟子、松村。対して、「現在のK-1のアマチュア育成システムの配下で頑張っている選手にもチャンスを」と名乗りを挙げた武尊という対立軸も面白い。
さらに約2ヶ月に渡る密着取材を通して、サラリーマンを辞めてラストチャンスに挑む元キックアマチュア王者、松村とK-1アマチュアが誇る期待のホープで現役高校生の中嶋、どちらがK-1の夢舞台に立つのか?格闘業界、視聴者などの大きな注目を集め無名のアマチュア選手同士の戦いという枠を超えている。
一番の見所は、ハードパンチャーでインファイトを好む松村と、それを好まない中嶋の距離の攻防だろう。パンチ面では明らかに分がある松村、そこに惚れ込んだ魔裟斗もアッパーを中心とした打撃強化を短期間のトレーニングで打ち出して来た。
一方の中嶋も卜部弘嵩らの指導により接近戦をテーマに掲げたが、それは第1回戦で戦った山本KID推薦のスソン対策として取った作戦で、決勝の松村戦では、違う対策が迫られることになる。
「松村が望んでいる打ち合いに中嶋は持ち込まない、積極的に蹴ってくる」という魔裟斗の予想が的中するとしたら、序盤の両者の蹴り合いは極めて重要なテーマとなりそうだ。松村のローからパンチのコンビネーションの破壊力に対し、空手ベースの前蹴りや、ミドルなどを多用し手数でペースを握る中嶋という対照的な構図は見どころかもしれない。
両者の弱点を挙げるとしたら、スタミナ面の問題だ。松村はスタミナをキープするために魔裟斗から「相手に悟られないように休む」というアドバイスを受けたが、2ラウンドの前半で早々と決着をつけたため、スタミナ切れする場面は見られなかった。一方の中嶋も、高校生ファイターとまだまだ発展途上の中で、スソンとのフルラウンド勝負で後半は失速する姿も多々見られた。よりKO狙いで序盤から攻める松村に対し、クレバーにK-1ルールでの勝ち方にこだわる中嶋、両者のペース配分は試合を分ける要素として鍵になることだろう。
この試合の勝者は、300万円というアマチュア選手としては破格の賞金を受け取り、さらにK-1デビューが約束される。しかもその最初のリングは、3月21日さいたまスーパーアリーナ「K'FESTA.1」の大舞台だ。いよいよ決戦の火ぶたが切って落とされる。