将棋界初の「中学生五段」となった藤井聡太五段(15)の評価が、ここに来てさらに上昇している。そのきっかけとなったのが、1月14日に行われた第11回朝日杯将棋オープン戦の、佐藤天彦名人(29)戦だ。藤井五段にとって初めて現役のタイトルホルダー、しかも名人を倒したということもあり、大きな話題となったが、将棋を知る人ほどその勝ちっぷりに驚愕したという。現役プロ棋士たちからは「まるでタイトルホルダーのよう」との声も挙がっている。
15歳にして、その戦いぶりは勢いと落ち着きが両立した、まさに強者の指し回しだったという。ベテラン棋士の1人は「ただ勝ったというのではなく、内容的にも圧倒的な勝利でした。申し分ない勝ちっぷりでした」と称えた。また、若手棋士の1人は「中学生らしくないとか、そういう話ではないです。まるでタイトルホルダー、それこそ佐藤名人が指しているような感じでした」と舌を巻いた。
若さとともに、がむしゃらに突き進んでくるなら、まだ隙も見える。ただ、この日の対局について、若手棋士は「名人に力を出させない将棋をしたというのがすごい。間合いをはかって、重圧をかけていった。こういう将棋は、年齢を重ねても一生できない人もいます」と、既に別の領域にいると語った。さらには「あの10代離れしたものを、どうやって身につけているのか。同業者として気になるところです。名人に対して、ああいう勝ち方ができるのは、棋士の中でも…というところです」と、同じプロ棋士として脅威に感じる思いも吐露した。
成長著しいという言葉では追いつかない速度で強くなる藤井五段。2月17日には、同じ朝日杯将棋オープン戦の準決勝で、将棋界のレジェンド・羽生善治竜王(47)と、世紀の対決が実現する。昨年、2度行われた非公式戦では1勝1敗の五分。その時から藤井四段はたくましくなり、羽生竜王も復調し「永世七冠」も達成した。2人の最大出力がぶつかり合う対局は、日本中で29連勝達成時より大きな話題になるはずだ。
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