今回も超満員となった2月3日の東京女子プロレス・練馬Coconeriホール大会で、団体の主力選手の1人、のの子が卒業試合を行なった。
(勝負どころでボインメーカーポーズを決めるのの子)
(C)DDTプロレスリング
もともとタレント活動をしていたのの子は、音楽グループのオーディションで自他ともに認めるぽっちゃり好き、DDT映像ディレクター兼レスラーの今成夢人に見出されてプロレス界へ。2013年12月の東京女子プロレス旗揚げ戦でデビューし、見た目でも試合ぶりでもインパクトを残してきた。楽しさもバカバカしさも徹底する東京女子のカラーに大きく貢献した存在だ。
手ブラツイスト、オパイェ、ボインメーカーといったKカップ殺法は、理屈抜きかつ無闇な迫力。チャンピオンベルトを巻くことはなかったが、トーナメント「東京プリンセスカップ」では優勝している。
最近では滝川あずさとの「婚勝軍」、凶器にゼクシィを使ったことで編集部からクレームが入っての号泣会見、まなせゆうなとのグラビアタッグ「超乳コンビ」など、常にファンに話題を提供してきたのの子。最後の相手に指名したのは、あらゆる場面で炎上上等の暴れっぷりを見せる“クビドル”伊藤麻希だった。
話題をかっさらっていく伊藤に「嫉妬してんのよ!」と対戦要求したのの子。試合当日は「ずっと涙腺が緩くなってました」というものの、リングでは今までになく落ち着いた笑顔を見せた。
試合は、のの子のKカップと“アイドル界いち顔がデカい”伊藤の頭突きが正面衝突する展開に。シングル王者・山下実優の蹴りをも跳ね返したことがあるのの子の胸に、伊藤が頭突きを連打していく。胸と頭の強度を競い合うという規格外のバトルは、やがて頭突き合戦へ。しかしここは伊藤が圧倒。伊藤が倒れたのの子に「こい!」「プロレス何年やってきたんだ!」と声を飛ばす場面も。
しかしフィニッシュしようとしたところで、のの子の胸が伊藤の顔面を捕獲。「落とせ」コールの中、窒息して失神寸前の伊藤にボインメーカーを叩き込んだのの子は、おっパイルドライバーからのパイフライフローでフォール勝ち。最後までKカップにこだわった闘いで有終の美を飾った。
(卒業セレモニーでは仲間たちと記念撮影も。選手からも愛され、信頼される選手だった)
(C)DDTプロレスリング
卒業セレモニーでは、涙を流しつつも晴れやかな表情でファンに挨拶。
「去年はよくゼクシィを読んでたんですけど、結婚式は女の子が一生に一度、主役になれる素晴らしい日って書いてあって。でも私はいま、人生の主役だし、私の結婚式って今なんじゃないか、お嫁に行けないんじゃないかって。でもお嫁に行けなくてもいいやって気分もあります」
そして最後に「東京女子プロレスは練習生を募集しています。本当にいい、家族のような団体で、始めるならいち早く始めたほうがいいので。興味がある方はぜひ来てください。メディアの方はこれを本当に書いてください」。
自分が主役の時間を団体のために使ったのの子は、仲間たちに囲まれ、爽やかにレスラー生活を終えたのだった。が、インタビュースペースでは恒例の号泣。「5000万人のみなさまに愛されてるのを実感できました!」と大幅に数字を盛ると、今後は「女優になります!」と宣言。取材陣をも圧倒してみせた。のの子は最後までのの子だった。
文・橋本宗洋
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