3月21日さいたまスーパーアリーナ・メインアリーナで開催される「K-1 WORLD GP 2018 JAPAN ~K'FESTA.1~」の追加試合が発表され、試合中止となった武尊vs大雅のスーパー・フェザー級選手権に代わり、第4代スーパー・フェザー級王座決定トーナメントの開催が発表された。
参加するのは卜部弘嵩、皇治、小宮山工介、スアレック・ルークカムイ、武尊、スタウロス・エグザコスティディス、郷州征宜、ティムール・ナドロフの8人。さらにリザーブファイトとして横山巧と大岩龍矢の対戦が加わる。
過去最大級の規模での大会とK-1側も自信を持って進めてきた「K'FESTA.1」のプロジェクトのメインカード消滅に対して、短期間でK-1側がトーナメントとそれ相応のラインナップを集めたことは評価に値すると思う。少なくともこの中に弱い選手は誰一人もいないのがその証拠といえる。
K-1で数々のタイトルを獲得している卜部弘嵩、Krush -60kg王者・郷州征宜、小宮山工介、皇治と同階級の実績ある選手に、階級を上げた武尊が加わる。外国勢も昨年9月に「REBELS」のリングで梅野源治と死闘を繰り広げたタイのスアレック・ルークカムイ、前王者大雅をKOしたスタウロス・エグザコスティディス、ロシアからは23歳のティムール・ナドロフが参戦。選手たちにとっては、この急造トーナメントがチャンスの場と同時に危険な挑戦となりそうだ。対戦カードは卜部弘嵩vs皇治、小宮山工介vsスアレック・ルークカムイ、武尊vsスタウロス・エグザコスティディス、郷州征宜vsティムール・ナドロフの順で行われる。
予想が難しいトーナメントとなりそうだが、やはりこの大会のメインをつとめる予定だった武尊に注目したい。スタウロス・エグザコスティディスに関しては、同じギリシャ人という意味でもK-1 MAXで活躍したマイク・ザンビディスを彷彿とさせるハードパンチャーというイメージで、実際、現役王者をKOするという日本デビューでの衝撃は記憶に新しい。蹴りを多用し判定で敗れた小宮山でも終始前に出てパンチを打ち込み続けた非常にアグレッシブなファイターということで、武尊のバチバチに打ち合う気質と「噛み合う」選手には間違いないのだが、一発の怖さとトーナメント1回戦で当たるには厳しい相手といえるだろう。
仮に勝ち上がったとしても対戦するのが郷州vsナドロフ戦の勝者。特にナドロフに関しては23歳という若い選手だが、10代で空手のWKF世界王者となり、ロシアで開催されている立ち技格闘技イベント「W5」でも-60kg世界王者に。中国の武林風と東欧のACBによる合同イベントで中国デビューも果たしている、165センチと小柄だが、高いボクシング技術とスピードある攻撃、前に出るアグレシブなスタイル、さらに空手をベースにした蹴りといった武尊に非常に似たタイプのファイターとしう印象だ。決勝への勝ち上がりもキツイものだが、場合によっては卜部との同門対決や、ムエタイの強豪との対戦といったシナリオが用意されている。
メインカードの消滅により幻となるかにみえた「武尊の3階級挑戦」になんとか漕ぎ着けたK-1サイドだが、結果的に武尊にとっては初めて挑む階級でワンデイ・トーナメントととてつもなくハードルの高いトーナメントとなった。「1試合が3試合になっただけ」と会見で語った武尊だが、本来のこの大会での武尊の立ち位置であった、K'FESTA.1のメインに立ち、最後までリングに立っていられるか?これは彼のキャリアの通過点の中でも最も大きな挑戦の一つになりそうだ。