3連休最後の12日、東京・両国国技館で「第八回白鵬杯」が開かれた。この大会、全国の小中学生による相撲大会で、2010年の第1回大会では現在大活躍中の阿武咲関が優勝を果たしている。
その第1回大会、相撲界が朝青龍の引退や野球賭博事件など不祥事が続いて揺れに揺れていた中で計画され、事件の影響で一旦はとん挫、しかし白鵬の熱意で開催が実現して740人の子どもたちが参加した。当時の映像を見ると女子も参加し、また日本とモンゴルの「親善交流少年相撲大会」という意味合いもあったようだ。
それから8年、大会は大きく成長した。参加1300人、140チーム。海外からもモンゴル、タイ、アメリカ、香港、中国、韓国、台湾のチームが参加すし、世界的な少年相撲大会になった。大会のキャッチフレーズは「君たちは日本の宝だ!」。
開会のあいさつで白鵬は「この大会の主役はここにいる君たち1300名であります。君たちは大相撲の未来、この国の宝です」と話した。と同時に「みんなが友情を深める場でもあります。分からないことは教えてあげましょう」と、友情と国際交流の場であることも強調していた。
奇しくも今年もまた相撲界の騒動が尾を引く中で大会が開かれることになったが、今や次世代を育てる大切な大会として位置づけられ、現役力士や親方たちも協力。チーム雅山(二子山親方)、安美錦、里山、嘉風、豊ノ島と、自らのしこ名を冠したチームを率いて参加した。
この大会の素晴らしさは、そうした参加する側だけでなく、相撲を愛する誰もが楽しめるようになっていること。現役の関取や力士たちが大勢会場を訪れて子どもたちの熱戦を見守るだけでなく、集まったファンや子どもたちのサインや写真撮影にも気軽に応じ、大相撲への親しみを深める場になっている。
入場は無料。近隣の親子連れやカップルなども気軽に訪れていた。初めて入る国技館にワクワクし、関取と写真を撮って興奮し、もちろん子どもたちの熱戦を楽しむ。
小さな子どもたち向けには輪投げ、紙相撲、スーパーボールすくいなどのゲームが用意され、「縁日スタンプラリーカード」が作られ、ゲームをまわると大会オリジナルグッズがもらえる仕組みで、取組を終えた子どもたちが熱中していた。子どもたちの大会を、きちんと子ども目線を大切に運営していることが伺える。
結果ワイワイといい意味で混沌とし、カーニバルのような賑やかさがあふれた楽しい空気に満ち溢れていた。
それだけでなく、東日本大震災や台湾震災への募金活動や、赤十字へ寄付が送られ、献血運搬車「白鵬号」が誕生。社会的な貢献も大きい。
そしてもちろん、今年も熱戦が数々繰り広げられ、決勝トーナメントともなると、手に汗握る取組ばかり。中学生の部など、大相撲幕下ぐらいのレベルなのでは?という声も飛び出すほど身体も立派で、技術もすごい。間違いなく、あと数年後には相撲界を賑わす逸材たちを見ることができた。たとえ有名な関取たちの取組でなくても、相撲って面白いんだね!ということが改めて確認できたのがいい。
それにしても朝一番から最後の表彰式までずっと会場で子どもたちを見守った横綱・白鵬。この横綱は心底に相撲を愛しているんだなぁということがよぉ~く伝わって胸が熱くなった。【和田静香】
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