2月24日から始まるオープン戦を目前にし、アトムホームスタジアム宜野湾を中心に対外試合を重ねる横浜DeNA。ラミレス監督は、練習試合では「レギュラー選手が2、3打席を使って調整していき、バックアップ選手が1、2打席使うような形」と話し、スタメンを見れば今のところ監督が考えるレギュラーが見て取れるが、二遊間争いは緊張の勝負が続くようだ。大和に倉本寿彦に柴田竜拓…。ノックの守備練習や試合の連携プレイのきびきびとした動きや声出しに高い集中力が感じられる。

 FAで阪神から大和を獲得し、指揮官は「リーグナンバーワン遊撃手」と信頼を寄せるが、キャンプ前までは、昨年ショートでフル出場し50打点を挙げた倉本寿彦を称え、セカンド・大和の方向を示唆していた。2月にキャンプインすると「1軍の選手は(二遊間)両方できるポテンシャルを持っているので、可能性を試したい」とスクランブルの守備練習が始まった。2日に初めて倉本がセカンドに入り、ショート・大和との連携プレイも磨いてきた。

 15日のサムスン戦ではショートに大和が入り、途中から、昨年ブレイクし堅実な守備を見せる柴田竜拓に代わった。セカンドは倉本から、長打力を誇る白崎浩之に。17日のKIA戦では、ショート・倉本からルーキーの宮本秀明へ、セカンドは大和から柴田に。18日のヤクルト戦はショート・大和から倉本へつなぎ、セカンドはベテランの田中浩康から柴田に交代した。日替わりの二遊間は激戦真っ只中だ。

 ただラミレス監督は大和の「つなぎのバッティング」に期待する部分が大きい。昨年、犠打と盗塁がリーグ最下位だったことからスモールベースボールを掲げ、チームで100犠打、80盗塁を目指している。「去年、桑原(将志)が10、梶谷(隆幸)が21盗塁で、この2人以外はできる選手がいなかった。梶谷が盗塁しにくい場面もあったと思う。彼らが盗塁しやすい環境も作っていく。大和が2番を打つのかまだわからないけれど、盗塁を担ってくれると思う。バントで筒香にまわすのか、打たして筒香につなぐのかケースバイケースなってくる」と臨機応変のつなぎのバッティングを求めている。実際に17日のKIA戦では初回に桑原が塁に出ると大和が送りバントでつなぎ、筒香の先制タイムリーを生んだ。3回に出塁したときには、初球で盗塁も決めた。指揮官は、大和に20盗塁、30犠打の目標を言い渡し、期待は高まるばかりだ。

 監督の目には2番ショート・大和が描かれ始めているのかもしれないが、キャンプ地に足を運んでいるファンからはさまざまな意見が飛び交った。「理想の二遊間」を40人に聞いてみると1位は「ショート・柴田、セカンド・大和」。2位は僅差で「ショート・大和、セカンド・倉本」だった。「予想」ではなく「理想」を聞いたためか「この先3年、5年を考え、生え抜きの若いショートを育ててほしい」というような意見が多く、「柴田選手は入団時にショートにこだわりがあると言っていたし失策数が少ない。去年も大事な試合で守備で救われたから伸ばしてほしい」、「筒香選手のイジリを見たいので、とにかく使ってほしい」というファンならではのコメントも。そのほか、「大和選手のショートの特守を見たら明らかに守備範囲が広く、無駄な動きがなくて感動した」。「バッティングを考えるとやっぱり倉本選手。慣れないセカンドも必死に食らいつき今年もやってくれそう。がんばれ」とエールを送る。二遊間争いはいつまで続くのか。激しい競争の中で、今日も華麗な守備が磨かれていく。【山口愛愛】

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