身長182センチ、体重215キロ。幕内一重い関取、逸ノ城が今場所も初日から3連勝で絶好調。“次の大関候補!”として俄然、注目を集めている。

 逸ノ城といえば2014年九月場所、新入幕で13勝2敗と大活躍して一気に注目を集め、現在のスー女ブームに火を付けた人。その後はしかし過度なプレッシャーから帯状疱疹を罹い、体重管理の難しさから力を出し切れない日々が続いていたものの、昨年後半あたりから「逸ノ城、また強くなってきたよね?」という声が徐々に聞こえるようになってきた。

 今場所は2年半振りに小結に復帰。土俵入りでも以前のような大きな声援を浴びるようになってきた。この好調ぶり、過度に気にしていた体重管理を、その身体を絞ることに汲々とするより、あるがままに使って相撲を取ることにしたと言われているけど、それ以外にも何か秘密があるんだろうか?

 「一番はキャリアの積み重ねとでも言いましょうか。相撲歴が浅い頃は雑だったものが段々、型が出来てきたんですよ。わかりやすく言えば、たとえば立ち合いで相手より先に両手をついているでしょう? あれは効果ありです。攻撃的になりますから」と、逸ノ城の最近の強さの理由を大兄弟子にあたる方が語ってくれた。自分の相撲、流れ、得意、そのイメージがしっかり定まってきた。

 「特に目新しい稽古をしているわけではないんです。自分に合った型をパワー・アップしてる感じかな? 腰痛を抑えるための足腰のトレーニングをしっかり積んで、増えた体重は筋肉でしょう。基礎体力も以前よりはずっと上がりましたね」。日々の地道な努力。自分の相撲を見つめ、型を極めるよう磨く。淡々とした稽古の積み重ねが今の逸ノ城の強さを作っているという。強くなるのに、近道はない。

 「照ノ富士が大関に上がった時は相当に悔しかったみたいですよ。自分も大関に上がりたい! その気持ちが強いはずです」。今場所は十両に陥落してしまい、けがや糖尿病を抱えながら必死の相撲が続く照ノ富士。逸ノ城とは同じ鳥取城北高校相撲部のライバルで、高校の寮では同じ部屋でもあった友人だ。その照ノ富士が2015年五月場所後に大関に昇進し、翌場所も大活躍して「横綱?」の声もあった頃、逸ノ城は迷いの中にあった。自分の方が先に注目を浴びて三役に駆け上ったはずだったのに……。

 「悔しくても顔にはあまり出ないからわかりませんが、それはかなりですよ」。相撲は気持ちで取るともいう。実は勝ち気な逸ノ城! 寡黙でポーカーフェイスの奥に、メラメラと闘志を燃やしていたとは! 25歳となる今年はやるっきゃないでしょう?

 「今場所は落ち着いているから、良い成績を残すはずです! 本人も自信ありそうですし」。大兄弟子も太鼓判を押す逸ノ城。目指せ大関! ぷくんと丸いホッペをピンク色に染めた笑顔が満開になる日も近いはず! 「逸ノ城、フッと笑ったときの笑顔が可愛いんですよね(笑)」。そうそう、そうなんですよ! 逸ノ城、期待してます! 【和田静香】

(C)AbemaTV

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