春場所五日目のこの日は序ノ口で早くも“大一番”が実現した。昭和の大横綱・大鵬を祖父に持つ納谷と、叔父が元横綱・朝青龍である豊昇龍という、ともに確かな血筋を受け継いだホープ同士の直接対決は、納谷が左四つに組み止めて寄り倒す圧勝に終わった。

優勝22回を誇るモンゴル出身初の横綱となった偉大な叔父も序ノ口優勝は逃しているだけに、豊昇龍は今場所の優勝を目標に掲げて公言していたが、これで“公約実現”の可能性は極めて低い情勢となった。
互いに「負けたくない相手」と語る、今場所が番付デビューのホープ2人。両者はこれまで高校時代に1度対戦があり、角界入り後は先場所、前相撲で顔が合っている。過去2度の対戦はいずれも納谷が勝っており、豊昇龍にとって“三度目の正直”とはならなかった。
いずれ、数年後は幕内後半屈指の好取組になるであろうライバル対決。将来は千秋楽結びの一番で見ることになるかもしれない。同期生だった曙と貴乃花のように。64代と65代の2人の横綱の初対戦は1988年五月場所、序ノ口の土俵で実現。曙の勝利に終わったこの一番から相撲史に残る長いライバルストーリーが始まった。納谷と豊昇龍の両雄もこれからファンを惹きつけてやまない“長編物語”を紡いでいくことだろう。
実質的な“序ノ口優勝決定戦”を制して3戦3勝とした納谷は、順当にいけばこのままプロデビュー場所を制しそうだ。
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