ボクシングで世界3階級制覇を達成した“浪速乃闘拳”亀田興毅が1試合限りの現役復帰を果たす。ライセンスを再取得しての公式戦だ。目指すのは「亀田興毅に勝ったら1000万円」から1年後となる5月。復帰に向けた日々は、AbemaTVがレギュラー番組「ラスト亀田興毅-最後の現役復帰-」で密着取材する。なぜ復帰を決意したのか、ボクシングにかける思いとは。本格的に練習を始めたばかりだという亀田に率直な心境を聞いた。
―1月に復帰宣言しましたが、復帰を決めた最大の理由は?
亀田 もう完全にAbemaTVにノセられて……っていうのは嘘やけど(笑)。亀田興毅っていうのは、いいにせよ悪いにせよ日本中を騒がせたボクサーやないですか。でも、その最後の試合がアメリカで。言ってみれば「人知れず引退」だったわけですよ。華々しくデビューした人間なんやから、引退も華々しく、と。そういう機会があればいいなっていうのは前から思ってましたね。ちょっと思ってた。
―選手としてのケジメというか。
亀田 でも当時は日本では試合ができない状態で、訳が分からなかったけど仕方なかった。悔いはないけど「日本で引退試合ができてたらな」っていう、ふわっとした思いはあって。それがずっと残ってたんですよ。
―そういう中で、去年の5月に「亀田興毅に勝ったら1000万円」の企画があったんですね。
亀田 そこで、公式戦ではないけど日本のリングに上がれたのが凄い嬉しかった。練習も全然してなかったけど、リングに上がったら「やっぱり俺、ボクサーなんやな」と。自分も楽しかったし反響もあって。そういう中で弟の和毅に日本でのライセンスがおりて「あ、これ俺も日本でできるんかな」と。大毅の番組もあったし、今ならやれるかなというのが率直な心境ですよね。大毅も自分と同じ頃に網膜剥離で引退したんですけど、ボクシングが好きになってきた時にやめなきゃいけなかった。そういう大毅の思いも見届けて「俺はプロの試合で、ヘッドギアなしの闘いで亀田興毅というボクサーを終わらせたい」と。ボクサー・亀田興毅っていうのを終わらせなきゃいけないし。
―アメリカで引退した時点では完全に終わっていなかったと。
亀田 自分だけじゃなく周りも含めてね。俺が何か発言したら、しぐ騒がれる。「引退したのに、なんで?」と。俺よりも現役のいい選手に注目してくれよって。そういう気持ちもあるから、きちんと「ボクサー・亀田興毅」を終わらせなきゃいけない。そうじゃないとボクシング界のためにもよくないんで。
―「亀田興毅はこれで終わり」というのを日本のファンやマスコミにきっちり見せると。
亀田 だから番組名通り「ラスト」なんですよ。
―「1000万」企画をやってみた反響はいかがでしたか?
亀田 やってみたら、いい形の反響が多かったですね。ボクシングの素晴らしさが伝えられたのかなと。やる前は凄い批判されましたけどね。「ボクシングをなめるな」とか。そういう気持ちでやってたわけじゃなく、ボクシングを盛り上げるためにやったんやから。ボクシングのルールで素人と闘うっていうのも危険なことなんですよ。でも実際に見てもらったら、真剣さが伝わるんですよね。遊びじゃないから。
―今回の復帰に関しても、波紋は呼びそうです。
亀田 そら2年も試合から離れてたらねぇ。まあ、言う人はなんにせよ言うでしょ。でも、そう言う人も結局は(試合を)見るわけやから。見られてナンボですからね、プロは。
―見て判断してもらえばいいと。
亀田 それでおもろなかったらおもろなかったでええし、面白かったら面白かったでええし。食べ物と一緒で好き嫌いは誰にでもあるんでね。それは仕方ない。100人が100人好きって、そんなの逆に気持ち悪いわ(笑)。