3月21日(水・祝)さいたまスーパーアリーナで開催される新生K-1史上最大の大会『K'FESTA.1』。新生K-1の集大成かつ、次の飛躍へのステップアップともいえるこの大会のメインとなるのが、武尊や部弘嵩らが参加する「K-1WORLD GP第4代スーパーフェザー級王座決定トーナメント」。当初のスーパーフェザー級に挑戦する「3階級制覇」という企画が流れた武尊、メインカードを欠くという危機的な状況で開催2ヶ月を切って突きつけられたのは、さらに過酷なトーナメントだった。
2015年4月の初代スーパー・バンタム級トーナメント、2016年11月の初代フェザー級王座決定トーナメントを制してきた武尊。過去のトーナメントで圧倒的な強さを見せてきた武尊だが、今回のスーパーフェザーへと階級を上げたトーナメント決定には、あまりにも不利な条件ということで難色を示していた。3月の大会に向けた準備が白紙になるというショックもさる事ながら、武尊といえども「トーナメントを戦うのは、交通事故に合うくらいのダメージが残る」と、珍しく「僕は本当はトーナメントはやりたくなんです」と口にした。
この発言は、弱気というよりはファイターとしては現実的で正直な言葉だと思う。万全の準備を進めている最中に「タイトル戦消滅」という自らではどうにもならない問題が浮上、代替として提案されたのは、当初のプランかとは全く異なる、新階級でのワンデートーナメントというのは心中を察するものがある。
今回のトーナメントの難しさを元K-1 WORLD MAX2003、2008世界王者の魔裟斗は「新K-1伝説」の番組内でこのように語った。
「武尊は-55kg、-57.5kgでは体が大きかったんですよ。それが-60kgのスーパーフェザー級になると、今までの有利な体格が不利になる。非常に厳しい勝負になるだろう」
一回戦に最強の対戦相手といえるスタウロス・エグザコスティディスと対戦するが、このハードパンチャーとの対戦について魔裟斗は「仮に勝ったとしても無傷では勝ち上がれないだろう」と予想。
「(一回戦で)スタウロスと闘わせてくれ」と自ら志願したという武尊。大雅とのタイトルマッチが消滅し、自らの強さを証明するためにも、昨年9月に大雅をKOしたスタウロスへの勝利を最初の目標としたのはいかのも彼らしいところだ。
トーナメント全体でみると、一回戦で卜部弘嵩と小宮山工介が勝ち上がり、両者の対決はイーブンだが小宮山が決勝進出すると予想。決勝は武尊と小宮山になった場合は「小宮山は武尊と比べると体格が全然違う(大きい)、スピードで言えば武尊だが……」と言葉を濁した上で、やはりダメージを負って行うワンデートーナメントの厳しさが勝敗を分けると語った。
「敢えて武尊はリスクを背負いながら一番面白いカードを選んだ。彼は『それて勝つのがスターでしょ』」という考え方だ」とコメント。
ここまで自分が新生K-1を引っ張ってきて「K'FESTA.1は自分の大会」という意識は強いとした上で「そこに落とし穴があるのが、K-1には魔物がいる昔から言われていること」と、言葉を濁した。
「これで武尊が勝ったら本当にスーパースター」と語りつつも「魔物がいるんじゃないか。今回のトーナメントは……」と不敵な予想をした魔裟斗の胸騒ぎが現実となるのか? それとも危機的状況を乗り越え武尊が本当の意味で「新生K-1のスター」となるのか、地獄のトーナメントが幕が切って落とされる。