3月21日に開催された新生K-1最大のイベント・さいたまスーパーアリーナ大会は武尊の劇的な勝利で幕を閉じた。
この日、武尊は史上初の3階級制覇を目指してスーパー・フェザー級王座決定トーナメントに参戦。階級を上げただけに体格面での不利もあると思われたが、これまでと変わらないアグレッシブな闘いぶりを見せた。
1回戦、前王者の大雅をKOしているスタウロス・エグザコスティディスと真っ向勝負を展開して判定勝ちを収めた武尊は、続く準決勝で持ち味であるパンチの連打を炸裂させ、郷州征宜をKO。そして決勝でも、小宮山工介を序盤から圧倒、最終3ラウンドにノックアウトしてみせた。
試合に向けてのアメリカでの出稽古では「毎日、ステーキを1kg食べてました」という苦労しながらの増量で階級を上げた武尊だが、結果的にハンデを感じさせないどころか誰よりも迫力があった。
とりわけ決勝戦は、常にステップを使い、離れた間合いをキープして闘うスタイルの小宮山に対して「強引にいきました」と武尊。相手の得意な間合いを完全に潰し、最後まで前に出続けての勝利だった。前日会見で「格闘技人生が終わってもいい」と言っていたほどの覚悟が、試合にそのまま出たと言えるだろう。
さいたまスーパーアリーナという大会場が超満員となったこの大会。「もう今のK-1に“新生”とつけなくてもいいでしょう」と感慨を語ると「地上波ゴールデンタイム生中継を実現させたい」という野望も。さらに武尊は、こんな言葉でファンを沸かせた。
「僕と対戦したいっていう人はたくさんいますけど、僕とやりたいならK-1のリングに上がってきてください。僕は逃げも隠れもしないんで。立ち技最強を決めるのはK-1です。K-1最高!」
K-1王者としてのプライドを感じさせるアピールに、解説席の魔裟斗さんも「いいこと言いましたね、武尊」と絶賛。K-1を背負ってきた者として、後継者とも言える武尊には期待もシンパシーも大きいのだろう。
最大の舞台で、あらためてその実力と魅力を全開にした武尊。まさにスターと呼ぶにふさわしい姿だった。