AbemaTV「格闘代理戦争」で魔裟斗推薦選手の座を勝ち取り、魔裟斗の指導の下でトーナメント優勝を果たした松村英明。しかし、2連続KOの勢いのままに臨んだ3.21K-1さいたまスーパーアリーナでのプロデビュー戦は、佐野純平にローキックを効かされ、3RTKO負けという結果に終わった。ローで脚をやられただけでなく眼窩底骨折のケガも負った松村は、この敗戦に何を感じたのか?
──試合は残念な結果に終わりましたが、プレッシャーがありましたか?
松村 正直、一気に環境も変わって、環境に順応するのに意識を削がれすぎたというか、試合に集中し切れてませんでしたね。普通は練習生から始まってプロになる形ですけど、自分は四国から引っ越してきて、いきなりプロになって。2月から大宮司(トレーナー)さんに教わって、練習はハードにできて能力が上がってる実感はあったんですけど、この試合に向けて、佐野純平選手と戦うということに対する集中ができてなかったと思います。
──集中できていないというのは、試合前から感じていたんでしょうか。
松村 はい。試合直前にアップしていても、試合以外のこととかに意識を持っていかれちゃってたんで。最終的には集中する方向に行きましたけど、そこに向かうのが遅かったというか。相手はしっかりこの日のための戦い方をしてきたと思うので、その差がすごくあったと思います。
──「格闘代理戦争」トーナメント決勝までは突っ走れたけど……という感じですか?
松村 トーナメントの間は、魔裟斗さんの力がすごく大きかったと思います。完璧な準備ができて、その試合の準備だけに集中できる環境が出来上がってました。それでかなり走りやすかったんです。今は、自分で走り方を探して、「こういう風に走ろう」という感じで。その準備が間に合っていなかったと思います。
──「魔裟斗推薦選手」から「いちプロ選手」への切り替えには時間が足りなかった?
松村 そうですね。1月末にトーナメント決勝があって、シルバーウルフに入会したのが2月1日だったので。そこから3月21日にさいたまスーパーアリーナで試合するというのは、実際にやってみると、スケジュール的に厳しいものがありましたね。分かっていたことではあったんですが。
──佐野純平戦では、これまでの試合では一番、序盤から飛ばしていたように見えました。
松村 それはいろんな理由があると思います。倒さなきゃいけないというプレッシャーもありましたし……実際、練習での動きはよかったんですよ。もっと軽い階級の人とスパーしても負けないぐらいスピードもあったし。飛ばしたように見えたと思うんですけど、あれが自分のスタイルというか、この準備期間の中で見つけたものですね。これからもあんな感じで試合していくと思います。
──試合の中で、自分の動きは悪くなかった?
松村 結果としてはそうかもしれません。あの試合の中でよかったかどうか、客観的には分からないんですけど、自分のいい動きを引き出すということは練習でもできてきていたので。
──ローを効かされて、ペースを奪われました。
松村 正直、ロー対策は全然できてなかったんですよ。サンドバッグやシャドーでイメージするぐらいで。ただ、確かにローも効いたんですけど、結局、試合中も集中しきれなかったというか……
お客さんのこととか、魔裟斗さんのこととかも考えちゃって。期待されてたのもプレッシャーになって・・・。もしそんなことを考えてなかったら、ローをもっとさばけてたのかもしれないし、もっとコンパクトなパンチを打てたのかもしれないし。
──デビュー戦を終えた今、率直にどんな気持ちですか?
松村 何も感じてないですよ。足が痛い、目が痛いな、というぐらいです。あれこれ考えてたら、ここまでやってこれないですからね。練習もハードだし、環境も変わってるし。正直、試合前も今も…自分の感情が分からないです。
トーナメントの時もそういう感じではあったんですけど、魔裟斗さんがものすごい勢いで背中を押してくれたので、何も考えないで突っ走ればよかったんですよ。今はどう走るかを自分で考えながらやらないといけないので。
──しかし、これからはそれが当たり前の状態になりますよね。
松村 その点においては、すごく今後のための勉強になりました。この期間で生活にも慣れて、シルバーウルフで練習するという環境にも慣れて、今回試合を経験して、練習がどういう形で出るかとかも分かったので。
──ケガを治さないといけないし、時間は少しかかるかもしれませんが、次戦までの間にもっと準備はできそうですね。
松村 はい。正直、いまはケガを治したいですね。トーナメント決勝戦で痛めた拳も治ってなかったですし、何しろK-1を始めて3ヵ月なので、ローの練習、蹴りの練習をするとスネを痛めるんですよ。まだスネが弱いんです。そういうことで練習の効率が上がらないというのもあったので、まずはゆっくり休んで、ファイターとしての体作りをした上で、またリングに戻ってきたいです。