ゴルフに限らず、あらゆるスポーツジャンルで、力のある若手が台頭し、それに対してベテラン勢が危機感を持って頑張るという構図がファンを惹きつける。

 「ハングリー精神と実力を備えた若手が、“鼻息荒く”乗り込んでくるわけですから、レギュラーツアーのシード権を持つ選手も安泰ではなくなるでしょう。そして、その構図が鮮明になればなるほど、見る側、応援する側も面白くなるのでは、と感じています」

 これは今年、選手会長、さらにJGTOの副会長に就任した石川遼が3月のAbemaTVツアー(旧チャレンジトーナメント)開幕に寄せたメッセージである。その“鼻息荒く”トーナメントシーンに颯爽と登場した若手の代表格が星野陸也だ。

 一昨年、日大2年生だった星野は、「ゴルフと勉強と、中途半端なるのが嫌だった。ゴルフに専念したい」と6月に退学届けを提出。そして臨んだ7月のダンロップ・スリクソン福島オープンでベストアマ賞を受賞した直後、ファーストQTに挑戦するのと同時にプロ入りを宣言。20歳のときのことである。

 その後、星野は、とんとん拍子でセカンドQT、サードQTを駆け上り、12月のファイナルQTをトップで通過した。

 QTの合間を縫って星野は可能な限りツアーにも出場していた。8月のKBCオーガスタは主催者推薦だったが、9月のアジアパシフィック・ダイヤモンドカップはマンデートーナメントを突破して本戦出場を勝ち取っている。その大会2日目には、首位と1打差の2位タイになり一躍注目を集めた。最終的には18位タイだったが、「サードQTを前にして自信になりました(星野)」という戦いぶりだったのだ。大会4日間を通じて186センチ、70キロの体から繰り出される平均ドライバー飛距離316ヤードという数字も“大型新人登場”と衆目を集めた。

 マンデートーナメントを通過して参戦したマイナビABC選手権では、最終日に小平智と同組になり「お前ならQTは絶対に大丈夫だ」と太鼓判を押されたのも嬉しかったと星野は振り返る。

 ファイナルQTは6日間6ラウンドの長丁場。星野はそのラウンドのすべてで60台を叩き出し、2位に7打差をつけ、QT史上最少ストロークの通算31アンダーをマーク。圧巻は風速10メートルを越える荒れ模様の最終日を「さすがに不安でした」と言いながらも、7バーディ、ノーボギーで乗り切ったプレーだ。

 ファイナルQTの1位は、翌年ほぼすべてのレギュラーツアーに出られる。星野は、それをより確かなものにしようと考えていた。それは、2017年3月のチャレンジトーナメント(現AbemaTVツアー)の開幕戦で、上位に、できれば優勝することだった。同トーナメントの年間賞金ランキング1位には、翌年1年間のシード権が、ランク2位以下でも上位には、リランキング(獲得賞金額によりランクの入れ替え)が行われる前半戦の出場権が与えられる。こうして星野の“鼻息の荒い”1年がスタートした。

 若手プロゴルファーの登竜門、2018年のAbemaTVツアー第2戦「I Golf Shaper Challenge in 筑紫ヶ丘 2018」は、4月18日より3日間で開催される。

【久保田千春/ゴルフダイジェスト社専属編集委員】

(C)AbemaTV

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