5月1日に行われた棋聖戦挑戦者決定戦で、豊島将之八段(28)が三浦弘行九段(44)を下し、羽生善治棋聖(竜王・47)への挑戦権を獲得した。豊島八段のタイトル挑戦は今回が5回目。いまだ無冠ながら、プロもファンも認めるトップクラスの実力者。かつて飛び出した名言(?)「豊島?強いよね」が、確かなものとしてさらに広まる状況だ。

 竜王ランキング1組、順位戦はA級。各年度の成績に応じてクラスがアップダウンする2大タイトルで、豊島八段はいずれも最上位にいる。当然、対戦相手もトップクラスばかり。その中で2017年度では44勝18敗(勝率0.710)、2016年度も39勝17敗(勝率0.696)と7割前後の成績を残している。通算でも412勝176敗(勝率0.701)。現役で通算500局以上指し、勝率7割を超えている棋士は羽生善治竜王(0.712)と豊島八段、2人しかいない。

 一般棋戦では、タイトルホルダーらが顔をそろえる将棋日本シリーズで2016年に優勝を果たした。タイトル戦では2010年度の王将戦で初登場すると、2014年度に王座戦、2015年度に棋聖戦、2017年度に王将戦、そして2018年度の棋聖戦と、毎年にように登場している。また、2017年度の順位戦A級では、6勝4敗で6人が並ぶ史上最多のプレーオフに1回戦から登場。惜しくも挑戦権獲得はならなかったが、3連勝したことで改めて豊島八段の強さが際立った。

 そんな豊島八段の強さが、意外な形で広まったのが2012年のNHK杯で佐藤紳哉七段(40=当時六段)がインタビューで語った「豊島?強いよね」だ。各棋士が淡々と相手棋士について語るシーンが定番のインタビューで「豊島?強いよね。序盤、中盤、終盤、隙がないと思うよ。だけど俺負けないよ」と答えたことで、将棋ファンの間で大きな話題となった。ファンサービスの一環だったコメントだが、今では他の棋士が解説などで豊島八段を「『豊島?強いよね』でお馴染みの…」と紹介することもある。それだけこの“無冠の帝王”を説明する上で「強い」というのがキャラクターにもなっている。

 既に羽生棋聖への挑戦権を獲得しているが、王位戦挑戦者決定リーグでは白組で澤田真吾六段とともに3戦全勝で首位並走。竜王戦1組ランキング戦でも決勝進出で本戦出場を決め、優勝するとなれば変則トーナメントの最上位から参戦することになる。複数のタイトルで挑戦者候補になっており、場合によっては初タイトル獲得どころかいきなり二冠、三冠という可能性も十分にある。数字が示す実力に、タイトルという肩書きがつけば、将棋界以外の人々にも「将棋が強い豊島」として名が知れ渡る。

(C)AbemaTV

▶5/7(月)9:30~ 第66期 王座戦挑戦者決定トーナメント 屋敷伸之九段 対 藤井聡太六段

第66期 王座戦挑戦者決定トーナメント 屋敷伸之九段 対 藤井聡太六段 | 無料のインターネットテレビはAbemaTV(アベマTV)
第66期 王座戦挑戦者決定トーナメント 屋敷伸之九段 対 藤井聡太六段 | 無料のインターネットテレビはAbemaTV(アベマTV)
出演者は、屋敷伸之九段、藤井聡太六段、解説者:飯…です。