
米トランプ大統領は日本時間の9日午前3時過ぎ、ホワイトハウスで演説を行い2015年の「イラン核合意」から離脱することを発表した。
この核合意は、イランが核開発の大幅な制限を受け入れる代わりにアメリカなどが経済制裁を解除するもの。しかし、トランプ大統領は弾道ミサイルの開発が規制されていないことを問題視し、合意から離脱し過去最大級の経済制裁を行うと表明した。
この対応に、核合意をともに結んだイギリス・フランス・ドイツの首脳は「離脱決定に懸念を表明する。我々は合意を継続する」という共同声明を発表。一方、イランのロウハニ大統領はテレビ演説で「イランは合意を履行してきたのに、アメリカは決して順守することはなかった」と猛反発し、「工業用のウラン濃縮活動の再開もあり得る」と警告している。
なぜ、アメリカは核合意から離脱するのか。『けやきヒルズ』(AbemaTV)では、テレビ朝日 元アメリカ総局長の名村晃一氏に見解を聞いた。
核合意離脱の動きについて名村氏は「トランプ大統領はこの2年間でオバマ前大統領がやってきたことを否定してきているので、そのうちの1つだと捉えてもいいと思う」と説明。続けて、「イランに対して核開発を完全にやめさせよう、もっと厳しい合意にしようと考えている」と話す。

とはいえ、核合意は利害関係のある各国が調整し辿りついたもの。なぜこのタイミングで離脱するのか?名村氏は首脳会談を控える北朝鮮の存在を挙げ、「ボルトン大統領補佐官は、北朝鮮問題があるからだという話をしている。日本にいると核の問題は北朝鮮だけのように思えるが、国際社会では北朝鮮とイランの核をどうするかというのが1つ枠組み。(核合意離脱は)これから北朝鮮にも厳しくするというトランプ大統領のメッセージと考えられる」との見方を示した。
そんななか、北朝鮮の金正恩委員長は7日から8日にかけて中国の習近平国家主席を電撃訪問した。訪中の意図について名村氏は「国の力は中国が圧倒的に上で、今後も面倒を見てもらわないといけない。何か大きなことをする前にはちゃんと報告をしようという要素もあるのでは」と推測。北朝鮮を中心に外交が活発化するなかで、日本の存在感の薄さを指摘する声に対しては、「拉致問題は日朝2国間の問題なので、日朝韓会談などに乗せるのは難しい。北朝鮮はお金を欲しがっているので、こちらの言い分とうまく擦り合わせつつ、焦らずに大胆にできるかということ」と述べた。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)

