5月12日、インドネシアのジャカルタで、アジアのトップMMAプロモーションであるONE Championshipの大会が開催された。
この大会で組まれたのが、ストロー級タイトルマッチ。王者アレックス・シウバに日本の内藤のび太が挑む一戦だ。
両者は昨年12月、王者と挑戦者が逆の立場で対戦しており、その際はシウバが判定勝利。今回はのび太がリマッチを挑んだ。
前回ローキックをはじめ打撃に苦しんだのび太は、序盤から積極的に圧力をかけ、打撃でも渡り合いつつ組みついていく。シウバものび太が得意とする低いタックルは許さないが、それでも攻撃の手を緩めないのび太。
のび太がグラウンドに持ち込み、パンチを浴びせる場面もあったが、シウバも足関節技やアームロックで切り返し、完全にはポジションを許さず。一進一退の展開を、AbemaTVの中継で解説を担当した大沢ケンジ氏は「組みの打ち合い」と評した。
両者が繰り広げたアグレッシブな組み技は、打撃で言えばダウンの応酬にもたとえられる激しさ。しかもそれが5分5ラウンドの長丁場で、ノンストップで行なわれたのだ。
この、どれだけディフェンスされ、切り返されても愚直に攻め続ける姿勢、石にかじりつくようなファイトスタイルがのび太の真骨頂。漫画の野比のび太同様に地味でおとなしい人間が、ただひたすら「頑張る」ことで勝利を掴む。その姿が見る者の胸を打つのだ。終盤には、地元の観客から「のび太」コールも発生した。
2-1と割れたジャッジの判定。しかし終始、先手を取り続けたのび太が勝利を収め、タイトル奪還に成功した。大舞台でのリベンジ、ベルト奪取だけでなく、心に響く名勝負を残したのび太。日本のMMAファイターとして、現代を代表する存在の1人であることをあらためて証明した。