昭和40~50年代にかけて強烈なぶちかましからの押し相撲で鳴らし「デゴイチ」の異名を取った元関脇黒姫山の孫、田中山(境川)が夏場所三日目、前相撲の土俵に上がり、角界デビューを果たした。相手の若小山をもろ手突き一発で土俵外に押し出した相撲ぶりは、祖父を彷彿させた。
「かまして前に出る自分の祖父の相撲を目指していきたい」と語る横顔も「デゴイチ」そっくりだ。両国国技館のすぐそばで生まれ、子供のころから相撲に慣れ親しんだ。都内の小学校を卒業すると、祖父の出身地である新潟県へ相撲留学。糸魚川市立能生中学校3年のときに出場した都道府県大会では無差別級で全国制覇を成し遂げ、中学卒業後は強豪校の新潟・海洋高校に進学するも網膜剥離を患って1年で中退。症状もよくなったことで、16歳で境川部屋から初土俵を踏んだ。
父も元幕下力士で田中山の曾祖父にあたる元黒姫山の義父は、昭和30年代の栃若時代に活躍した「白い稲妻」と言われた速攻が持ち味だった元関脇北の洋。今場所新十両の若隆景、幕下の若元春、若隆元の“大波3兄弟”は父が元幕下力士、祖父は元小結若葉山と3代続く相撲一家。序二段の納谷も父親が元関脇貴闘力、祖父が元横綱大鵬と自身が3代にあたるが、田中山のように4代続く力士は角界でも非常に珍しい。
いずれは「黒姫山」の四股名を名乗るであろう16歳のホープだが「そこまでは考えてない。今は目の前の一番だけ。一日一日、稽古をして力をつけていきたい」と足元をしっかりと見据えている。
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