いま注目を集める「ライブストリーミング」。スマートフォンで手軽に配信者の姿が生中継で見られ、縦画面で見れば配信者が直接話しかけてきているような感覚を味わえる。YouTuberがひとつの「職業」として確立された現代。このライブストリーミングも新たなビジネスモデルとして広がりつつある。
ライブストリーミング用のアプリも数多く配信されており、その中でも人気を誇っているのが「17Live(イチナナ)」。台湾でスタートした後、去年日本でもリリースされ「17ライバー」と呼ばれる配信者の数は世界で4000万人を超えると言われている。その特徴は、視聴者がライバーに向けてコメントやギフトとしてポイントを贈ることができること。大道芸人に金銭をあげる“投げ銭”と同じ感覚だ。ちなみにポイントを購入する時は1ポイント=約1円換算となる。
人気ライバーのmaaami(まあみ)さん。ライバー歴わずか8カ月でトップライバーにまで登り詰めたそうだが、一体どのようなライブ配信を行っているのか。maaamiさんによるとそのスタイルは「フリースタイルライブMV」。音楽に合わせてスマホを動かしながら生配信する、maaamiさんオリジナルの配信方法だ。動きながら指で画面の色を変えていく。
開始早々贈られたのは「ギフト」で、ギフトが贈られると画面を埋め尽くすような演出が入る。そして、同じ視聴者が連続してギフトを贈り続ける「コンボ」が発生。その勢いは止まらず、なんとこの日は大台の1000コンボを達成した。
ライバーは、視聴者から贈られたポイントの約15%を収入として得る事ができる。この日、maaamiさんが獲得したのは50155ポイント。つまり、約1時間のライブ配信で5万円分ものギフトが贈られたことになる。maaamiさんは月の収入について「前はアパレル1本で働いていたが、アパレルで働いていた時よりは安定した収入を得ている。これ1本で今はやらせてもらっています」と明かした。
どんな場所でも手軽に配信できるのがライブストリーミングの強み。定期的に大規模なイベントも開催されている。
東京・目黒の雅叙園で今年3月に行われたイベントには150人の人気ライバーたちが集結し、ギフトの数を競ってナンバー1を決めた。着物で着飾ったライバーで溢れる華やかな会場。しかし、参加者の神経はただ一点、スマホだけに注がれている。そんな中、1位に輝いたライバーはなんと優勝賞金250万円を手にした。
また、一大ビジネスとしてライブストリーミングを活用する企業も。ライブ配信アプリ「Live.me(ライブミー)」を扱うキングソフト株式会社。そこで配信を行っているのは、人気ライバーのすけすけ。さん。今年2月にLive.meが主催するオーディションで見事合格し、現在はLive.meが提携する芸能プロダクションに所属している。さらに、日本コロンビアからのCDメジャーデビューと舞台出演が決まっているそうだ。また、視聴者から得たプレゼントの数が多いライバーには、テレビやポスター広告への出演権が与えられることもあるという。
ありのままの日常を配信するライブストリーミングが、なぜ今こんなにも盛り上がりをみせているのか?実際にライブ配信アプリを見ている人からは「応援しているファンだったり素人さんが、この子いいなと思ったらダァーッとタップする。(ギフトを)贈った時に呼んでくれて返してくれた時におっと思ってちらっと見ちゃう」との声があがる。
自身もライブストリーミングで積極的に配信を行うITジャーナリストの富永彩乃さんによると、「“投げ銭”システムが出てきたことによって、今すごい盛り上がりを見せている。活発なのは中国本土」だという。
「モバイルペイメント。スマホで簡単にお金を払えるシステムが中国にはある。それで払うことによって、簡単に投げ銭ができてしまう。それですごく人気になったと思う」
しかし、中国ではすでにダウンロード規制がかかっているといい、「数字を求めるあまり過激なことをしてしまう。私は『ストリーミングハイ』と呼んでいて、どんどん気持ちがハイになってしまってもっと過激なことをしちゃおうとか、違法なことをしてしまう配信者が多いので気をつけてほしい」と注意を促した。
盛り上がりを見せるライブストリーミングビジネス。果たして日本では、YouTuberに匹敵するような「ライバーブーム」は訪れるのだろうか。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)