今から82年前の1936年(昭和11年)5月18日、今なお語り継がれる「阿部定事件」が発生した。この日、東京・中野区で割烹料理屋を営む石田吉蔵(当時42)の、男性器を切り取られた死体が荒川区で発見された。殺害したのは、その愛人だった阿部定(当時32)と判明した。
 定は事件を起こす1年ほど前、吉蔵が営んでいた料理屋に女中として住み込みはじめ、まもなくして吉蔵の愛人となった。しかし、店の従業員に関係が知られてしまったため駆け落ち。待合(今でいうホテル)に身を潜め、寝る間も惜しんで2人は夜な夜な結ばれあったと言われる。