メジャーからインディーまで、男女関係なく幅広くプロレスを観戦しているラッパー、サイプレス上野(サイプレス上野とロベルト吉野)に、デスマッチを主軸とする団体FREEDOMSについて聞いた。竹田誠志が大日本プロレスとFREEDOMSのデスマッチ2冠を達成、時代を掴んだ中で葛西たちベテランはどう出るのか。デスマッチの現在、その魅力と期待を上野に語ってもらった。

(聞き手・橋本宗洋)

――5月に竹田選手がデスマッチ2冠を達成したわけですが、ほかにも強豪選手がたくさんいる中で竹田選手が初めて達成したというのも興味深いですね。。

上野 団体所属じゃなくフリーっていうのもありますけど、新しい世代っていうか、いろんなことに関して自由にできるのかなって。これまでベルトに到達できなかった姿を何回も見て来てるんで、ホント凄いなって。大日本でもそうですけど、タイトルマッチを任せられる選手になってるじゃないですか、マイクも含めて。大日本のベルトを守りながら勢いをつけてきた感じもありますからね。

――メインイベンター、チャンピオンが似合う選手になったと。

上野 前はセミでヤバいことする選手、メインで負けてもインパクトを残す選手みたいな感じがありましたけど、今は違いますよね。メインのタイトルマッチでヤバいことやって、その上で勝つ選手なんで。

――今、デスマッチ戦線では竹田選手が時代を築いてますけど、一方で葛西選手の今後の出方も気になりますよね。

上野 そこですよね。夏には葛西選手プロデュースの興行もあるわけで、これからどう出るのか。今はFREEDOMSのベルト戦線から一歩引いてる感じですけど、やっぱり狙ってほしいじゃないですか。

――竹田選手は大日本プロレスのデスマッチヘビー級とFREEDOMSの2冠を達成しましたからね。葛西選手はじめ、上の世代も何かしら触発されるものがあるかもしれません。

上野 これ、ヒップホップも同じなんですよ。やっぱり常に新しい世代が出てくるんで。竹田選手が2冠獲ったのは、ヒップホップで言うとトラップ世代が来たみたいな。

――デスマッチそのものも変わってきたというか、それこそ大日本は横浜文体とか両国国技館でも興行をやってるわけですし。

上野 そういう中で竹田選手が時代を掴んだのは嬉しいですね。感情移入して見てきた選手だし。あとデスマッチだからって凶器で痛めつけ合うだけじゃなくて、竹田選手は動けるんですよね。スピードもあるし技もあるしっていう。FREEDOMSもどんどん面白くなってきてますよね。吹本(賢児)選手とか正岡(大介)選手とかも含めて。試合っぷりもいいしキャラが確立されてきてますもんね。

――そうなると、今度はベテランがどうするのかにもより興味が出てきますし。

上野 あとFREEDOMSで好きなところは、90年代から2000年代前半のインディー感が残ってるんですよ。大日本のデスマッチはメジャー感があるのがいいところで、逆にFREEDOMSはファンも込みで危ないごった煮な雰囲気がいいんですよね(笑)。

――会場全体で(笑)。

上野 危ないものを見たいっていう空間ですよね。そこもインディーのよさで。

――ある種の暗さとか、怪しさとか。

上野 いい選手がいっぱいいて、それでも“インディーくささ”がいい意味で残ってるっていうのは凄いと思いますね。

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