小幡貴一。小学校時代に過ごしたタイでフットサルを始めた異色の経歴を持つ彼は、U18、U19などのアンダーカテゴリーの代表として活躍してきた。しかしAFC U-20フットサル選手権で代表落選。その悔しさを胸に「Fリーグ選抜」に志願した。フル代表での活躍を夢見る21歳の若者は、どのような思いで「Fリーグ選抜」として戦っているのだろうか――。

環境を変えるためにFリーグ選抜に志願

 今シーズンから始まったFリーグ選抜。そもそもこのFリーグ選抜は、2020年に行われるFIFAフットサルワールドカップに向けて若手選手の育成を目的としている。つまり、将来の日本代表を背負って立つ若手選手を育成する場所だ。

 エスポラーダ北海道に所属していた小幡貴一もそんな野心を持って、Fリーグ選抜入団を決めた1人だ。

 小学校1年生の時、タイでフットサルを始めた小幡は小学校5年生で帰国すると、サッカーと並行してフットサルを続ける。しかし中学校3年生でサッカーを辞めてフットサルに専念し、エスポラーダ北海道のサテライトに入団。2016/2017シーズンには18歳でトップチームに昇格した。

 また日本代表としても、U18やU19などアンダーカテゴリーでプレー。2016年に行われた「タイランド5」では、U19を主体としフル代表の皆本晃(立川・府中アスレティックFC)、仁部屋和弘(バサジィ大分※現在活動休止中)を交えたメンバーの中に選出された。

 着実に階段をのぼっていく小幡だったが、所属チームでは限られた出場機会にとどまり、代表でも2017年に行われたAFC U-20フットサル選手権では落選するなど大きな壁にぶつかる。もどかしい気持ちばかりの日々に小幡は「何か環境を変えて、自分を再スタートさせる、リスタートさせる状況を作らないといけない」と感じていた。

 そんな矢先に持ち上がったFリーグ選抜の話を聞いて、小幡の気持ちはすぐさま決まった。

「話をいただいた時に即答しました。僕はU20日本代表のAFCに行けませんでした。彼らとの差を埋めるためには同世代と切磋琢磨してやることが一番。自分がどこまでできるかを、この目で確かめたかったんです」

 新たな環境でのフットサルは、小幡にとって多くの刺激があるようだ。これまでは大学生だったこともあり、フットサルにかけていた時間はそれほど多くない。一方で、10度もタイトルを獲得してきた王者・名古屋オーシャンズは、午前と午後の2部練習を行うなどほかのチームにはない練習量を誇る。Fリーグ選抜も使用している武田テバオーシャンアリーナでは、そういった日本のトップチームの練習を間近で感じ、「今までは全然(練習量が)足りていなかった」と痛感した。

 その中で、自分が一流選手に追いつき、追い越すために必要なことは、自分の限界をさらに越えて取り組むことだと感じたようだ。

「人と同じ練習をしていてもダメで、倍以上のものが必要です。フル代表に入るためにここに来ました。日々成長するために全力プラス1%で取り組んで、その先に見えてくると思います」

 Fリーグ選抜は名古屋と同様に2部練習を実施している。小幡は「正直にキツさもあります」と本音を明かすが、これこそがプロの環境。そして、21歳という年齢は確かに若いが、プロの環境で年齢は言い訳にできない。

 サッカーのブラジル代表でスタメンに名を連ねるガブリエル・ジェズスも、フランス代表のウスマン・デンベレも小幡と同じ21歳。フランスをベスト8に導いたキリアン・ムバッペにいたっては、まだ18歳だ。だが彼らは、世界の最高峰の舞台で戦っている。

 もちろん、サッカーのトップとFリーグは比較するようなものではないだろう。しかし上を目指すプロアスリートには、くすぶっている時間などない。

 はじめて味わうプロの環境の中、これからも“全力プラス1%”の気持ちで取り組み続けることが、夢の実現への近道となるだろう。

文・川嶋正隆(SAL編集部)

(C)AbemaTV

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